下図は、ある化合物の1H-NMRスペクトル(400 MHz、CDCl3、基準物質はテトラメチルシラン(TMS))である。
この化合物の構造式として正しいのはどれか。
1つ選べ。
なお、イのシグナルは一重線であり、拡大図A、B及びCの拡大率はそれぞれ異なる。
また、エのシグナルはヒドロキシ基のプロトンに由来する。
(図:1H-NMRスペクトル全体図(0〜12 ppm)と、拡大図A(ア、6H、1.0〜1.5 ppm付近、二重線(ダブレット))、拡大図B(ウ、1H、3.1〜3.3 ppm付近、多重線)、拡大図C(CHCl3、キ 1H・カ 1H・オ 1H、6.6〜7.3 ppm付近)。全体図上のシグナル:ア6H(約1.2 ppm)、イ3H(約2.2 ppm、一重線)、H2O、エ1H(約4.6 ppm、OH由来)、ウ1H(約3.2 ppm)、オ1H・カ1H・キ1H(6.6〜7.3 ppm付近)、TMS(0 ppm)。)
正答1
解説
正解は1。
1H-NMRスペクトルにおいて、6H(ア、約1.2ppm)はイソプロピル基の2つのメチル、3H一重線(イ、約2.2ppm)は芳香環メチル基、1H多重線(ウ、約3.2ppm、七重線)はイソプロピル基のメチン水素、1H(エ、約4.6ppm、OH由来)はフェノール性水酸基、6.6〜7.3ppmに1Hずつ現れる3本(オ・カ・キ)は三置換ベンゼン環上に残る芳香族水素3個を示す。
メトキシ基(OCH3、通常3.7〜3.9ppm付近に3H一重線)に相当するシグナルが存在しないため、メトキシ体である選択肢2・3は除外され、置換基がメチル・イソプロピル・OHの3つで芳香環水素が3個残る選択肢1(チモール型構造)が矛盾なく一致する。
選択肢4はイソプロピル基ではなくエチル基をもつため、1.2ppm付近には6Hの二重線ではなく3Hの三重線が現れ、ウの1H七重線に相当するシグナルも生じない。
選択肢5は芳香環上の置換基が水酸基とメチル基3個であり、メチルはいずれも一重線として現れて二重線や七重線を与えず、残る芳香族水素も3個ではなく2個である。