宅地建物取引業者Aの業務に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定に違反するものはいくつあるか。
ア Aの従業員Bが、Cが所有する戸建住宅の買取りを目的とした訪問勧誘をCに対して行ったところ、Cから「契約の意思がないので今後勧誘に来ないでほしい」と言われたことから、後日、Aは、別の従業員Dに同じ目的で訪問勧誘を行わせて、当該勧誘を継続した。
イ Aの従業員Eは、Fが所有する戸建住宅の買取りを目的とした電話勧誘をFに対して行った際に、不実のことと認識しながら「今後5年以内にこの一帯は再開発されるので、急いで売却した方がよい。」と説明した。
ウ Aの従業員Gは、Hが所有する戸建住宅の買取りを目的とした電話勧誘をHに対して行おうと考え、23時頃にHの自宅に電話をかけ、勧誘を行い、Hの私生活の平穏を害し、Hを困惑させた。
エ Aは、Jとの間でJが所有する戸建住宅を買い取る売買契約を締結し、法第37条の規定に基づく書面をJに交付したが、Aの宅地建物取引士に、当該書面に記名のみさせ、押印させることを省略した。
正答3
解説
正解は3です。
宅建業者の勧誘に関する禁止行為と、37条書面への記名・押印を問う個数問題です。
ここでは、宅建業法に違反しない記述を○、違反する記述を×で示します。
【記述別解説】
ア:× 違反します。
相手方が契約を締結しない旨の意思を表示したのに勧誘を継続することは禁止されています(宅建業法施行規則16条の11第1号ニ)。
担当の従業員を替えても、Aとしての勧誘の継続に当たります。
イ:× 違反します。
将来の環境(再開発)について不実のことと認識しながら告げることは、重要な事項についての不実告知として禁止されています(宅建業法47条1号)。
将来の環境について誤解させるべき断定的判断の提供にも当たります。
ウ:× 違反します。
迷惑を覚えさせるような時間に電話で勧誘し、私生活の平穏を害して相手方を困惑させることは禁止されています(宅建業法施行規則16条の11第1号)。
エ:○ 違反しません。
2022年5月施行の改正により、37条書面には宅地建物取引士が記名すればよく、押印は不要となりました(宅建業法37条3項)。
違反するものはア・イ・ウの三つなので、正解は3です。
【ポイント】
勧誘の禁止行為は、買取りの勧誘のように宅建業者が買主となる場面でも適用されます。
35条書面・37条書面とも、現在は宅地建物取引士の「記名」だけで足り、押印は不要です。