次の1から4までの記述のうち、民法の規定、判例及び下記判決文によれば、正しいものはどれか。
(判決文) 所有者甲から乙が不動産を買い受け、その登記が未了の間に、丙が当該不動産を甲から二重に買い受け、更に丙から転得者丁が買い受けて登記を完了した場合に、たとい丙が背信的悪意者に当たるとしても、丁は、乙に対する関係で丁自身が背信的悪意者と評価されるのでない限り、当該不動産の所有権取得をもって乙に対抗することができるものと解するのが相当である。
正答3
解説
正解は3です。
不動産の二重譲渡では、原則として先に登記を備えた者が優先します(民法177条)。
ただし、背信的悪意者は177条の「第三者」に当たらず、登記があっても対抗できません。
【選択肢別解説】
1:× 背信的悪意者であるCは、登記を備えてもBに対抗できません。
背信的悪意者は登記の欠缺を主張する正当な利益がないため、177条の第三者から除かれます(最判昭和43年8月2日)。
2:× 登記未了のBは、背信的悪意者でないCに所有権取得を対抗できません。
二重譲渡の優劣は登記の先後で決まり、登記のないBはCに対抗できないのが原則です(177条)。
3:○ 判決文は、転得者D自身がBとの関係で背信的悪意者と評価されるときは対抗できないとしています。
したがって、Dも背信的悪意者に当たる場合、DはBに所有権取得を対抗できません(最判平成8年10月29日)。
4:× 単なる悪意者は177条の第三者に含まれます。
Bの登記未了を知っていただけのCは、先に登記を備えればBに対抗できます。
【ポイント】
「単純悪意者は保護され、背信的悪意者は保護されない」が基本です。
背信的悪意者からの転得者は、転得者自身が背信的悪意者でない限り保護される点も押さえましょう。