次の1から4までの記述のうち、民法の規定及び判例並びに下記判決文によれば、誤っているものはどれか。
(判決文) 本人が無権代理行為の追認を拒絶した場合には、その後に無権代理人が本人を相続したとしても、無権代理行為が有効になるものではないと解するのが相当である。
けだし、無権代理人がした行為は、本人がその追認をしなければ本人に対してその効力を生ぜず(民法113条1項)、本人が追認を拒絶すれば無権代理行為の効力が本人に及ばないことが確定し、追認拒絶の後は本人であっても追認によって無権代理行為を有効とすることができず、右追認拒絶の後に無権代理人が本人を相続したとしても、右追認拒絶の効果に何ら影響を及ぼすものではないからである。
正答2
解説
正解は2です。
この問題は誤っているものを選ぶので、○ が答え(誤った記述)です。
判決文(最判平成10年7月17日)は、本人が追認を拒絶した後に無権代理人が本人を相続しても、無権代理行為は有効にならないとしたものです。
【選択肢別解説】
1:× 正しい記述です。
判決文のとおり、追認拒絶によって無権代理行為の効力が本人に及ばないことが確定します。
その後は、本人であっても追認して有効な行為とすることはできません。
2:○ 追認拒絶の前に無権代理人が本人を単独で相続した場合、無権代理行為は当然に有効になります(最判昭和40年6月18日)。
追認拒絶後の相続では有効にならないので、両者の法律効果は異なります。
3:× 正しい記述です。
追認は、別段の意思表示がないときは、契約の時にさかのぼって効力を生じます(民法116条本文)。
ただし、第三者の権利を害することはできません(同条ただし書)。
4:× 正しい記述です。
本人が無権代理人を相続した場合、本人は本人の資格で追認を拒絶できます(最判昭和37年4月20日)。
したがって、相続によって当然に有効となるわけではありません。
【ポイント】
「無権代理人が本人を相続」は当然に有効、「本人が無権代理人を相続」は追認を拒絶できる、が基本の対比です。
ただし、本人が無権代理人を相続した場合でも、無権代理人の責任(民法117条)は承継します。