34歳の女性。
中学校教諭。
既婚で4歳と6歳の子どもがいる。
半年前に学年主任になった頃から不眠が続き、欠勤が多くなった。
3か月前から食欲不振、焦燥感および不安感が出現し、「死にたい」と訴えたため精神科を受診した。
診察の結果、休職して入院治療を受けることになった。
入院後、食欲は改善し、焦燥感と不安の訴えは少なくなったが、意欲低下の状態が続き、対人交流が苦痛であると訴えた。
入院3週目に意欲の向上を目的に作業療法が開始された。
作業療法開始時に予想される症状はどれか。
正答3
解説
正解は3です。
この問題は、仕事の負担が増えたことを契機に、不眠、食欲不振、焦燥感、希死念慮が出たうつ病の女性の事例です。
入院後に焦燥感や不安は減ったものの、意欲低下が続く時期に作業療法が始まっています。
この時期に予想される症状として、うつ病に特徴的なものを選びます。
【選択肢別解説】
1:× 感情鈍麻は、喜怒哀楽などの感情の動きが乏しくなる状態です。
統合失調症の陰性症状として代表的で、うつ病の典型的な症状ではありません。
2:× 強迫観念は、ばかげているとわかっていても頭から離れない考えです。
強迫症の中心症状であり、本例の経過には合いません。
3:○ 思考制止は、考えが進まず、判断や決断に時間がかかる状態です。
うつ病の精神運動制止の一つで、意欲低下が続く時期の作業療法でも、作業の手順を考えられない、決められないといった形で現れます。
4:× 滅裂思考は、考えのつながりがなくなり、話の筋が通らなくなる思考形式の障害です。
統合失調症でみられ、うつ病の症状ではありません。
5:× 両価性は、同じ対象に愛と憎しみなど相反する感情を同時に抱く状態です。
Bleulerが統合失調症の基本症状として挙げたもので、うつ病の典型的な症状ではありません。
【ポイント】
うつ病の思考の障害は思考制止、統合失調症の思考の障害は滅裂思考や連合弛緩と区別します。
うつ病の作業療法の導入期は、負担の少ない作業から始め、決断を迫らない関わりを心がけます。