70 歳の女性。
独居。
身長 155 cm、体重 52 kg。
自宅で転倒。
右大腿骨頸部骨折と診断され、右人工骨頭置換術 (後方アプローチ) を受けた。
術後、回復期リハビリテーション病院を経て自宅退院の見込みである。
右股関節の屈曲角度は 100 度、伸展 0 度である。
左下肢機能には問題を認めない。
屋内外は杖歩行自立。
現状の家屋環境を図に示す。
退院時に向けた環境調整で最も適切なのはどれか。
ただし、手すりの高さはすべて適切である。
正答1
解説
正解は1です。
人工骨頭置換術の後方アプローチでは、股関節の屈曲・内転・内旋の組み合わせで脱臼しやすくなります。
本例の右股関節屈曲は100度までで、それ以上深く曲げる動作を避ける環境が必要です。
【選択肢別解説】
1:○ 図の浴槽は深さ600 mm で、底に座ると股関節を100度以上深く曲げることになります。
浴槽内いすで座面を高くすれば屈曲角度を減らせ、脱臼の危険を下げられます。
2:× 図の折り返し階段には、内側に上りと下りの両方で使える手すりが連続してあります。
左下肢に問題がなく杖歩行も自立しており、追加の優先度は低いです。
3:× 便座の高さは380 mm で、股関節屈曲100度の範囲で立ち座りできる高さです。
L字型の手すりもあり、浴槽ほどの深い屈曲は求められません。
4:× 上がりかまちは200 mm で、縦手すりが設置されています。
踏み台は段差を分けられますが、脱臼肢位の回避という点では浴槽ほど優先されません。
5:× 屋外階段の手すりの端にある平坦部は、昇り始めと昇り終わりで体を支える部分です。
取り除くと段差の前後で支えがなくなり、かえって危険になります。
【ポイント】
後方アプローチは「深く曲げる・内股・内にひねる」を避けます。
深い浴槽、低い椅子、床からの立ち上がりが典型的な危険場面です。