40 歳の女性。
保険会社の営業職。
くも膜下出血の診断で開頭クリッピング術が施行され、現在、回復期リハビリテーション病院に入院している。
事務職への配置転換が可能であるが、本人は営業職への復職を希望している。
身体機能に問題はない。
Barthel Index 100 点、HDS‑R 25 点、Kohs 立方体組合せテスト IQ 88、 BIT 141 点、RBMT 標準プロフィール 14 点、BADS 総プロフィール 8 点、 TMT‑A 120 秒、TMT‑B 145 秒であった。
復職に向けた作業療法として最も適切なのはどれか。
正答5
解説
正解は5です。
本例は身体機能に問題がなく、日常生活も自立しています。
しかし RBMT(リバーミード行動記憶検査)と BADS(遂行機能障害症候群の行動評価)が低く、TMT(Trail Making Test)も延長しています。
記憶・注意・遂行機能の障害が残っており、復職には代償手段の獲得が必要です。
【選択肢別解説】
1:× 営業職は予定の管理や臨機応変な対応など、記憶と遂行機能を強く使う仕事です。
検査結果からは現時点で難しく、配置転換も含めて本人と話し合う段階です。
2:× 記憶障害のある人は、翌日には誤りの内容を思い出せないことがあります。
誤りは翌日ではなく、その場ですぐにフィードバックするのが原則です。
3:× スタッフの固定は、混乱しやすい人や関係づくりが難しい人で用いる工夫です。
本例は職場で多くの人と関わるため、固定することは復職の準備になりません。
4:× 復職を目指す段階では、他者との協働を想定してグループ訓練へ広げていきます。
グループから個別へ戻す方向は、復職支援としては逆です。
5:○ メモリーノートは、予定や手順、やり残したことを書き留めて記憶障害を補う外的補助具です。
記入と確認を習慣化すると、遂行機能の低下も段取りの記録で補えます。
職場で自立して働くための代償手段として、最も適切な支援です。
【ポイント】
BIT(行動性無視検査)は141点でカットオフ値を上回っており、半側空間無視はありません。
高次脳機能障害の復職支援では、障害の回復を待つより代償手段の獲得と職場環境の調整を重視します。