82 歳の女性。
右利き。
手関節脱臼骨折後、手関節掌屈0° 、前腕回外 10° の可動域制限がある。
それ以外の上肢の関節可動域や筋力は保たれている。
歯がなく、義歯を装着していない為にきざみ食を箸で食べているが、肩関節外転の代償運動が出現している。
「こぼれやすく、口に届きにくい。
右手で楽に食べたい」との訴えがある。
食事用自助具(別冊No.1①〜⑤)を別に示す。
適切なのはどれか。
正答4
解説
正解は4です。
この患者は手関節の掌屈が0°、前腕の回外が10°に制限されています。
そのため、すくった食物を口へ向けるために手関節を掌屈・前腕を回外する代わりに、肩関節を外転して代償しています。
この可動域制限を道具の形で補える自助具を選ぶ問題です。
【選択肢別解説】
1:× ①はピンセット型の箸(箸ぞうくん型の自助箸)です。
つまむ動作の巧緻性を補う道具であり、口元へ運ぶときの手関節・前腕の可動域制限は補えません。
本人も箸ではこぼれやすいと訴えています。
2:× ②は柄が波形に曲がったフォークです。
持ちやすさは増しますが、先端の向きは通常のフォークと同じで、回外制限を補う角度はついていません。
3:× ③は太柄のスプーンです。
太柄は握力低下や手指の屈曲制限がある人の把持を助けるものです。
本例は手指の機能が保たれており、問題は口へ向ける角度なので適しません。
4:○ ④は首(ネック)が曲げられ、太い木製の柄が付いたスプーンです。
スプーンの皿があらかじめ口の方向へ向いているため、前腕回外と手関節掌屈が不十分でも食物を口に運べます。
肩関節外転の代償が減り、こぼれにくく口に届きやすくなります。
5:× ⑤は2本のスプーンを根元でつないだトング型の自助具です。
食物をはさむ動作を助ける道具であり、口元へ向ける角度の問題は解決しません。
【ポイント】
前腕回外制限や手関節の可動域制限には、柄の角度を変えた「角度付き(曲がり)スプーン」を用います。
握力低下には太柄、つまみの巧緻性低下にはピンセット型箸と、障害と道具の対応を整理しましょう。