16 歳の女子。
約6か月前から、壁に向かってぶつぶつと独りで話をしている。
悪口が聞こえる、と周囲を怖がる様子がみられ、学校に行かず自宅に閉じこもることが多くなった。
両親に説得されて病院を受診したが、自分は病気ではないと治療に抵抗するため、ACT<Assertive Community Treatment>による訪問が開始された。
この患者に優先すべきなのはどれか。
正答5
解説
正解は5です。
ACT(包括型地域生活支援プログラム)は、重い精神障害をもつ人の地域生活を、多職種のチームが訪問を中心に支えるサービスです。
本例は幻聴や被害的な訴えがあるものの病識がなく、治療に抵抗しています。
このような人への訪問の初期には、治療を押しつけず、本人の関心事を話題にして信頼関係を築くことが最優先です。
【選択肢別解説】
1:× SST(生活技能訓練)は、本人が自分の課題を自覚し、練習に同意して行うものです。
治療に抵抗している導入期には実施できません。
2:× 復学の検討は、症状が安定し、信頼関係ができたあとの課題です。
訪問を始めた直後に優先すべきことではありません。
3:× 病識のない人に治療の必要性を説得すると、抵抗や不信感を強め、訪問そのものを拒否される原因になります。
4:× 集団心理教育は、病気をある程度受け入れ、集団に参加できる段階で行います。
病識がなく、周囲を怖がっている本例には適しません。
5:○ 本人が好きなことや関心のある話題から関わることで、支援者を安心できる人と感じてもらえます。
信頼関係ができれば、その後の治療や支援につなげやすくなるため、最も優先すべきです。
【ポイント】
ACTなどのアウトリーチ支援では、導入期の関係づくり(エンゲージメント)が最も重要です。
本人の希望や関心を出発点にし、治療の話は関係ができてから段階的に進めます。