健常者の尺骨神経で行った逆行性記録法による感覚神経伝導検査の記録波形(別冊No.5)を別に示す。
感覚神経活動電位〈SNAP〉の振幅が刺激部位によって図示するように低下する機序はどれか。
2つ選べ。
正解を2つ選んでください。
正答2・5
解説
正解は2と5です。
図は健常者の尺骨神経で、手関節、肘下、肘上、腋窩から刺激した感覚神経活動電位〈SNAP〉の波形です。
刺激部位が近位になるほど潜時が延び、振幅は小さく、持続時間は長くなっています。
感覚神経は伝導速度の異なる多数の線維からなり、伝導距離が長いほど各線維の到達時間がずれます。
この生理的な時間的分散と、それに伴う位相相殺によって振幅が低下します。
【選択肢別解説】
1:× 不応期は神経が興奮した直後に再興奮できない時間です。
単発刺激の記録では刺激部位による振幅低下の原因になりません。
2:○ 到達時間がずれた各線維の電位は、陽性相と陰性相が重なって打ち消し合います。
これを位相相殺といい、振幅が低下します。
3:× 逆行性伝導は、近位を刺激して遠位の指から記録するこの検査法そのものです。
振幅が低下する機序ではありません。
4:× 伝導ブロックは脱髄などで一部の線維の伝導が途絶える病的な状態です。
健常者の波形であり、伝導ブロックではありません。
5:○ 線維ごとの伝導速度の違いにより、距離が長いほど到達時間がばらつきます。
これを生理的な時間的分散といい、波形が平坦で幅広くなります。
【ポイント】
SNAPは持続時間が短いため、運動神経の複合筋活動電位〈CMAP〉より時間的分散の影響を強く受けます。
そのため健常者でも、近位刺激ではSNAPの振幅が大きく低下します。