正答5
解説
正解は5です。
図は、正中神経を手関節部と肘窩部で刺激し、短母指外転筋で記録した複合筋活動電位です。
実線が患者、破線が正常例です。
手関節刺激では、患者の波形の潜時が正常よりやや遅れています。
肘窩刺激では、患者の潜時が正常より大きく遅れています。
さらに波形が低く幅広く、複数の山に分かれています(時間的分散)。
前腕部での伝導速度が著明に低下し、時間的分散を伴うのは脱髄の特徴です。
したがって、脱髄性の末梢神経障害である慢性炎症性脱髄性多発根神経炎が最も考えられます。
【選択肢別解説】
1:× 重症筋無力症は神経筋接合部の障害です。
神経伝導検査の潜時や伝導速度は正常で、反復刺激試験で漸減現象を示します。
2:× 手根管症候群では、手関節より末梢の遠位潜時だけが延長します。
前腕部の伝導速度は保たれ、図のような大きな遅れや時間的分散は起こりません。
3:× 筋萎縮性側索硬化症〈ALS〉は運動ニューロンの変性です。
振幅は低下しますが、潜時や伝導速度はほぼ正常です。
4:× 糖尿病性多発ニューロパチーは、主に軸索障害で、感覚神経から障害されます。
伝導速度の低下は軽度で、図のような著明な時間的分散は典型的ではありません。
5:○ 慢性炎症性脱髄性多発根神経炎〈CIDP〉は、末梢神経の髄鞘が免疫学的に障害される病気です。
伝導速度の著明な低下、潜時の延長、時間的分散を示し、図の所見と一致します。
【ポイント】
脱髄では伝導速度の低下や時間的分散、軸索障害では振幅の低下が主体です。
両者を区別できるようにしておきましょう。