40歳の男性。
胸部の発赤と腫脹を主訴に来院した。
発赤は次第に腹側正中部に向かって伸び、帯状や線状になった。
腹部の写真(別冊No. 1)を別に示す。
食物摂取歴として、1か月前にドジョウを生食した。
診断として正しいのはどれか。
正答2
解説
正解は2です。
ドジョウの生食歴と、皮膚に現れて移動する線状の発赤が手がかりです。
寄生虫の幼虫が皮下を移動して起こる皮膚症状を皮膚爬行症と呼びます。
写真では、腹部の皮膚に幅の細い赤褐色の線状の発赤がみられます。
発赤はうねるように帯状に伸びており、幼虫が皮下を移動した跡と考えられます。
ドジョウの生食歴とこの線状の皮疹から、顎口虫症と判断できます。
【選択肢別解説】
1:× 疥癬はヒゼンダニの感染症で、指の間や陰部の小丘疹と疥癬トンネルが特徴です。
ドジョウの生食とは関係しません。
2:○ 顎口虫はドジョウやライギョなどの淡水魚に幼虫として潜みます。
生食するとヒトの体内では成虫になれず、幼虫が皮下を移動して線状の発赤や移動性の腫脹を起こします。
3:× 旋毛虫症はクマ肉や豚肉の生食で感染し、筋肉痛や発熱、顔面浮腫、好酸球増多が特徴です。
4:× オンコセルカ症はブユが媒介するアフリカなどの寄生虫症で、皮膚の結節や失明を起こします。
5:× 日本住血吸虫症は水中のセルカリアが皮膚から侵入して感染し、肝硬変などを起こします。
魚の生食では感染しません。
【ポイント】
皮膚爬行症の原因として、顎口虫(ドジョウ、ライギョ)と旋尾線虫(ホタルイカ)が代表的です。
食べた物と症状を組み合わせて覚えましょう。