82 歳の女性。
高血圧と糖尿病の治療を長期にわたり行っている。
徐々に歩行障害がみられるようになり、転倒することが多くなった。
頭部 MRI の FLAIR 像(別冊No. 1)を別に示す。
画像所見で考えられるのはどれか。
正答5
解説
正解は5です。
高血圧と糖尿病を長く患う高齢者で、徐々に進む歩行障害と転倒がみられています。
頭部MRIのFLAIR(fluid-attenuated inversion recovery)像では、両側の側脳室周囲の深部白質と基底核付近に、斑状の高信号域が多数散在しています。
脳溝は保たれており、出血を示す所見はありません。
これは細い血管の動脈硬化による多発性の小梗塞(ラクナ梗塞)と白質病変の像です。
【選択肢別解説】
1:× 視床出血では視床に限局した血腫がみられ、急性発症の片麻痺や感覚障害を起こします。
画像の病変は両側の白質に散在しており、視床の血腫像ではありません。
2:× 硬膜下血腫では、頭蓋骨の内側に沿った三日月状の血腫が脳表を圧迫します。
この画像には脳表に沿う液体貯留はみられません。
3:× くも膜下出血では、脳溝や脳底槽に血液による異常信号がみられ、突然の激しい頭痛で発症します。
画像所見も経過も合いません。
4:× 正常圧水頭症では脳室の拡大に加え、高位円蓋部の脳溝が狭くなる所見が特徴です。
この画像の主体は白質の多発性高信号で、脳溝の狭小化もみられません。
5:○ 側脳室周囲と基底核付近に多数の高信号が両側性に散在しています。
高血圧・糖尿病という危険因子と緩徐な歩行障害の経過からも、多発性脳梗塞と判断できます。
【ポイント】
多発性脳梗塞では、小刻み歩行などの歩行障害(脳血管性パーキンソニズム)や、認知機能低下、仮性球麻痺が緩徐に進行します。
FLAIR像では脳脊髄液が黒く抑制されるため、脳室周囲の白質病変が白く目立ちます。