47 歳の女性。
多発性硬化症。
30 歳で発症し、寛解と増悪を繰り返した後、完全寛解していた。
1週前に視力低下と小脳症状が出現し、入院となった。
視神経と右小脳半球に脱髄を認める。
過回内テストで図のような動きが観察された。
この患者にみられる所見はどれか。
正答3
解説
正解は3です。
右小脳半球に脱髄があるため、同側である右上肢に小脳性の運動失調が現れます。
過回内テストでは、両上肢を前方に伸ばして手掌を上に向けた位置から、すばやく回内させます。
小脳障害側では回内が止まらずに行き過ぎ、手掌が外側を向くほど過剰に回内します。
図では患者の右手(図の左側)が、母指が下を向くまで回内しすぎています。
これは運動を目標の位置で止められない測定過大で、測定異常の一つです。
【選択肢別解説】
1:× 振戦は律動的に繰り返す不随意の震えです。
小脳障害では目標に近づくと震えが強くなる企図振戦がみられますが、図は一回の運動の行き過ぎで、震えではありません。
2:× 運動分解は、複数の関節を同時に動かす運動を一つずつ分けて行う現象です。
指鼻試験などで運動の軌跡がぎこちなく分かれることで評価します。
3:○ 測定異常は運動の距離や大きさを調節できない障害で、行き過ぎる測定過大と届かない測定過小があります。
過回内は回内の行き過ぎであり、測定過大にあたります。
4:× 協働収縮異常は、複数の筋が協調して働けない障害です。
背臥位から腕を組んで起き上がるときに下肢が浮き上がる現象などで評価します。
5:× 反復拮抗運動不能は、回内と回外のような逆向きの運動をすばやく繰り返せない障害です。
手の回内・回外の反復検査で評価し、一回の過回内で判定するものではありません。
【ポイント】
小脳半球の障害では、症状は病変と同じ側の上下肢に現れます。
測定異常は指鼻試験、踵膝試験、過回内テストなどで評価します。