28 歳の男性。
2週前に Guillain-Barré 症候群と診断された。
γ グロブリン大量静注療法を実施され、症状の進行は停止した。
本日実施した右上肢の運動神経伝導検査の結果を表に示す。
現時点で最も導入を検討すべき装具はどれか。
正答2
解説
正解は2です。
表では尺骨神経の振幅と伝導速度が低下しており、尺骨神経麻痺の状態です。
尺骨神経麻痺では骨間筋と環指・小指の虫様筋が働かず、環指・小指のMP関節が過伸展し、IP関節が屈曲する鉤爪手(鷲手)になります。
これを防ぐには、MP関節を屈曲位に保つ装具が適しています。
【選択肢別解説】
1:× 長対立装具は手関節と母指を対立位に保つ装具です。
高位の正中神経麻痺や第6頸髄レベルの頸髄損傷などで用います。
2:○ ナックルベンダーはMP関節を屈曲方向へ補助する装具です。
MP関節の過伸展を防ぐと指伸筋の力がIP関節の伸展に伝わり、鉤爪手の予防と手指機能の改善につながります。
3:× IP関節伸展補助装具は、PIP関節の屈曲拘縮などに用いる装具です。
鉤爪手の原因であるMP関節の過伸展は防げません。
4:× 母指Z変形用スプリントは、関節リウマチでみられる母指のMP関節屈曲・IP関節過伸展の変形に用います。
尺骨神経麻痺の変形とは異なります。
5:× コックアップ・スプリントは手関節を背屈位に保つ装具です。
橈骨神経麻痺による下垂手に用います。
【ポイント】
末梢神経麻痺と装具は、橈骨神経はコックアップ・スプリント、正中神経は対立装具、尺骨神経はナックルベンダーと対応させます。
ナックルベンダーは名前と異なり、MP関節を「屈曲」させる装具である点に注意します。