歩行障害がある患者の頭部MRIのT1強調冠状断像(別冊No.6)を別に示す。
腰椎穿刺を行い髄液を排出させたところ、歩行障害が改善した。
最も考えられるのはどれか。
正答2
解説
正解は2です。
頭部MRIの所見と、髄液を抜いたあとの症状の変化から疾患を判断する問題です。
T1強調冠状断像では、両側の側脳室が丸く大きく拡大し、第三脳室も拡大しています。
一方で、頭頂部(高位円蓋部)の脳溝は狭く、Sylvius裂は開大しており、脳全体の萎縮だけでは説明できない拡大です。
腰椎穿刺で髄液を排出すると歩行障害が改善する(タップテスト陽性)ことも、正常圧水頭症の診断の根拠になります。
【選択肢別解説】
1:× Parkinson病は中脳黒質のドパミン神経細胞が変性する疾患です。
MRIで脳室の著明な拡大はみられず、髄液の排出で歩行は改善しません。
2:○ 正常圧水頭症が最も考えられます。
脳室拡大と高位円蓋部の脳溝の狭小化があり、髄液の排出で歩行障害が改善したことが、診断の決め手になります。
3:× 脳梗塞では、梗塞の部位に限局した信号変化がみられます。
画像にそのような病変はなく、髄液の排出で症状が改善することもありません。
4:× 脳出血では、脳実質内に血腫がみられます。
画像に血腫はなく、髄液の排出で改善する経過とも合いません。
5:× 慢性硬膜下血腫では、頭蓋骨と脳の間に三日月形の血腫がみられます。
画像にそのような所見はありません。
【ポイント】
正常圧水頭症の三徴は、歩行障害・認知障害・尿失禁です。
歩行は小刻みで足を広げ、すり足になるのが特徴で、髄液シャント術で改善が期待できる「治る認知症」の1つです。