68歳の男性。
胸部大動脈解離(Stanford分類B型)に対して経カテーテル的ステントグラフト内挿術が行われたところ、術後に麻痺症状がみられた。
ASIA評価表の結果を示す。
この患者のASIAの重症度スケールと脊髄の損傷部位との組合せで正しいのはどれか。
正答2
解説
正解は2です。
ASIA評価表から重症度(AIS)と脊髄の損傷部位を判断する問題です。
運動機能では上肢の主要筋はすべて5ですが、下肢の主要筋はL2・L3が2、L4〜S1が1です。
感覚機能では触覚はすべて正常で、痛覚はT7以下が鈍麻しています。
肛門の随意収縮と肛門感覚はともに「有」です。
【選択肢別解説】
1:× Bは誤りです。
Bは損傷レベル以下に感覚のみ残り運動機能がない状態ですが、本例は肛門の随意収縮があり下肢も動くため運動不全麻痺です。
2:○ Cで脊髄の前方が正しいです。
運動不全麻痺で、損傷レベル以下の主要筋の半数以上が筋力3未満なのでCです。
痛覚が低下し触覚が保たれる解離は、前方の脊髄視床路と錐体路が障害され、後方の後索が保たれた前脊髄動脈症候群の所見です。
3:× 損傷部位が後方という点が誤りです。
後方の損傷では後索が障害されて触覚や深部感覚が低下しますが、本例の触覚はすべて正常です。
4:× Dは誤りです。
Dは損傷レベル以下の主要筋の半数以上が筋力3以上の状態ですが、本例の下肢主要筋はすべて2以下です。
5:× Dも中心部の損傷も誤りです。
中心性脊髄損傷は上肢に強い麻痺が特徴ですが、本例は上肢が正常で下肢に麻痺があります。
【ポイント】
胸部大動脈の手術やステントグラフト内挿術では、前脊髄動脈への血流(Adamkiewicz動脈)が途絶えて前脊髄動脈症候群が起こることがあります。
運動麻痺と温痛覚障害があり、触覚・深部感覚が保たれるのが特徴です。