69歳の男性。
肺癌。
これまで化学療法を行ったが病状は進行し、経過中に脳転移がみられた。
胸部エックス線写真(別冊No. 2A)と頭部造影 MRI(別冊No. 2B)とを別に示す。
現在、呼吸に関する自覚症状はないが、全身倦怠感、食思不振および悪心があり、外出する気分になれず自宅に閉じこもる傾向にある。
この時期に適切な理学療法はどれか。
正答3
解説
正解は3です。
化学療法後も進行し、脳転移もある肺癌患者で、終末期に近い時期と考えられます。
胸部エックス線写真(A)では右下肺野に腫瘤影があり、頭部MRI(B)では右前頭葉と左側頭葉から後頭葉にかけて高信号の病変(転移巣)を認めます。
呼吸に関する自覚症状はなく、倦怠感や食思不振から活動量が落ち、閉じこもり傾向にあります。
この時期の理学療法は、体力の向上よりも、できる活動を保って生活の質(QOL)を支えることが目的です。
【選択肢別解説】
1:× 嚥下障害を示す症状は記載されていません。
食思不振は倦怠感や悪心によるもので、嚥下練習の適応ではありません。
2:× 麻痺など下肢の運動障害の記載はありません。
促通運動は中枢神経障害による麻痺に用いる方法で、本例には当てはまりません。
3:○ 屋外での歩行運動は、体に過度な負担をかけずに活動量を保てます。
気分転換にもなり、閉じこもり傾向の改善や生活の質の維持につながります。
4:× 軽打法による排痰は、痰が多い場合に用いる方法です。
本例は肺に腫瘤影があるものの、呼吸の自覚症状や痰の貯留を示す記載はなく、適応になりません。
骨転移があれば胸郭への叩打で骨折する危険もあります。
5:× 漸増的な持久性運動は、体力の向上を目指して負荷を少しずつ増やす方法です。
倦怠感が強く病状が進行している時期には負担が大きく、適切ではありません。
【ポイント】
進行がんの終末期に近い時期の理学療法は、機能の向上より、症状に合わせて活動と生活の質を保つことを重視します。
倦怠感の強い時期には、患者の楽しみや外出につながる軽い活動を取り入れます。