35歳の男性。
実業団の長距離選手だったが、ランニング中の交通事故で左脛骨中央部での下腿切断となった。
切断術後4週が経過し、左膝関節に軽度の側方不安定性と軽度の筋力低下があるものの、断端は成熟し皮膚の状態は良好となった。
スポーツ復帰を念頭に義足を製作することとした。
最適なソケットはどれか。
正答5
解説
正解は5です。
本例は若く活動性の高い下腿切断者で、断端は成熟し皮膚の状態も良好です。
スポーツ復帰を目指すため、懸垂力が強く、断端全体で体重を支えて動きやすいソケットが求められます。
【選択肢別解説】
1:× 図1は大腿コルセットと膝継手付きの支柱をもつ在来式の下腿義足です。
重く膝の動きを妨げ、大腿の筋萎縮も起こしやすいため、スポーツには不向きです。
膝の側方不安定性が強い場合に検討しますが、本例は軽度にとどまります。
2:× 図2は大腿骨顆部の上にくさびを入れて懸垂する KBM(顆部支持式)ソケットです。
懸垂は顆部で行いますが、走るような激しい動きでは懸垂力が不十分です。
3:× 図3はカフベルトで膝上を締めて懸垂する PTB 式ソケットです。
カフベルトは膝の屈伸を妨げ、激しい運動では緩みやすく、スポーツには適しません。
4:× 図4は膝蓋骨と大腿骨顆部を前面・側面から覆う PTS 式ソケットです。
膝の側方安定性には優れますが、深い膝屈曲が制限されるため走る動作には不向きです。
5:○ 図5はシリコンライナーを断端に装着する TSB(全表面荷重)式ソケットです。
ライナーの密着で懸垂力が高く、ソケット内でのピストン運動が少なくなります。
断端全体で体重を受けるので、皮膚の良好な成熟断端をもつ活動的な切断者のスポーツ復帰に最適です。
【ポイント】
TSB 式は断端全体で荷重し、シリコンライナーで懸垂するため、活動性の高い切断者に適しています。
PTB 式は膝蓋腱、KBM 式は顆部、PTS 式は膝蓋骨上縁まで覆う懸垂、と特徴を区別しましょう。