K 社健康保険組合の管理栄養士である。
対象者は、40歳、男性。
喫煙習慣なし。
一人暮らし。
昔からお酒が好きだが、体重が増えてきたので、外食のビール1杯と家ではチューハイ1缶で我慢している。
小学生の頃に、サッカーを始め、大学まで打ち込んできた。
就職してからもサッカーを趣味として続けていたが、忙しくなり30歳からやめている。
30歳台から体重が増加していたが、あまり気にしてこなかった。
40歳時の健診で、特定保健指導の動機付け支援の対象となった。
身長178 cm、体重90 kg、BMI 28.4 kg/m2、腹囲98.5 cm。
20歳時の体重72 kg。
血圧128/82 mmHg。
空腹時の血液検査値は、総コレステロール190 mg/dL、トリグリセリド185 mg/dL、LDLコレステロール110 mg/dL、HDLコレステロール43 mg/dL、血糖98 mg/dL、HbA1c 5.5%。
平日の食事内容は、表のとおりである。
表:対象者の平日の食事内容
朝食(コンビニで購入):おにぎり(ツナマヨと鮭を各1個)、あんパン(1個)、野菜スムージー(1パック)
間食:カフェラテ(加糖360 mL)
昼食(社員食堂):唐揚げ定食〔ご飯300 g、唐揚げ大4個、ミックスサラダ1皿、わかめの味噌汁1杯〕
夕食(外食):とんこつラーメン(並盛1杯)、餃子(6個)、ビール(中ジョッキ1杯)
夜食(帰宅後):チューハイ(500 mL)、冷奴(150 g)、枝豆(100 g)
初回面接で、対象者は「食事のことはよく分からないので、運動で体重を減らしたいです。サッカーを再開するために、ジョギングを始めたいと思います。」と話した。
3か月間で3kg減らす目標を設定した。
体重のセルフモニタリングに加えて、運動と食事に関するプランを提案する。
ジョギングの身体活動の強度は7メッツである。
このプランに関する助言として、最も適切なのはどれか。
1つ選べ。
正答3
解説
正解は3です。
対象者はBMI 28.4kg/m2、腹囲98.5cmで、運動で体重を減らしたいと考え、ジョギングを始める意欲があります。
3か月で3kg減らす目標を達成するために必要なエネルギー量を計算し、無理なく続けられるプランを選びます。
【計算】
体脂肪1kgを減らすのに必要なエネルギー量は約7,000kcalです。
3kg×7,000kcal=21,000kcal
1日当たり=21,000kcal÷90日=約230kcal/日
運動による消費エネルギー(kcal)=(メッツ−1)×時間(h)×体重(kg)×1.05
週2時間のジョギング=(7−1)×2×90×1.05=約1,130kcal/週(約160kcal/日)
毎日30分(週3.5時間)のジョギング=(7−1)×3.5×90×1.05=約1,980kcal/週(約280kcal/日)
【選択肢別解説】
1:× 毎日30分のジョギングは計算上目標を満たします。
しかし、10年間運動をしていない人が急に毎日走るのは負担が大きく、けがや挫折につながりやすいです。
食事に改善の余地が多いのに「そのままで良い」と伝えるのも適切ではありません。
2:× 週4日30分ずつは週2時間で、運動だけでは1日約160kcalにとどまり、目標の約230kcalに届きません。
「できそうなことから」という助言は具体性がなく、食事は分からないと話す対象者は何をすればよいか判断できません。
3:○ 週2時間のジョギングで1日約160kcalを消費できます。
加糖のカフェラテを無糖に替えれば、砂糖の分のエネルギーを毎日減らすことができ、不足分を補えます。
運動は対象者の意欲を生かし、食事は具体的で実行しやすい1つの行動に絞っているため、最も適切です。
4:× 週3時間のジョギングと禁酒を同時に求めるのは、目標に対して負担が大きすぎます。
お酒が好きで量を我慢している対象者にとって、禁酒は実行が難しく、継続できなくなるおそれがあります。
【ポイント】
特定保健指導では、運動と食事を組み合わせて、無理なく実行できる具体的な行動目標を対象者と一緒に決めます。
減量に必要なエネルギー量は「体重1kg≒7,000kcal」をもとに、1日当たりに換算して考えます。