区分所有者が、その所有する住戸を賃貸している場合に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法によれば、不適切なものの組合せはどれか。
ア賃貸借契約において、管理費の支払は賃借人が行う旨の合意があった場合でも、賃貸人である区分所有者が管理費の支払義務を負う。
イ賃借人は、建物の使用方法に関して、区分所有者が集会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負うものではない。
ウ賃借人は、住戸の設置又は保存に瑕疵があることによって、他人に損害が発生した場合には、その賃借人の免責事由の有無にかかわらず、損害賠償責任を負う。
正答3
解説
正解は3(イ・ウ)。
住戸を賃貸した場合の管理費支払義務、占有者の義務、工作物責任の帰属を問う問題です。
【選択肢別解説】
ア:○ 管理費の支払義務は、区分所有法・管理規約に基づいて区分所有者が負うものです。
賃貸人と賃借人の間で「賃借人が支払う」と合意しても、それは当事者間の内部的な取決めにすぎず、管理組合に対しては区分所有者である賃貸人が支払義務を負います。
イ:× 区分所有者以外の専有部分の占有者(賃借人)は、建物又はその敷地若しくは附属施設の使用方法につき、区分所有者が規約又は集会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負います(区分所有法46条2項)。
「同一の義務を負うものではない」とする点が誤りです。
ウ:× 土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があって他人に損害が生じたときは、まず占有者が責任を負いますが、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは免責され、その場合は所有者が責任を負います(民法717条1項)。
占有者である賃借人の責任は過失責任(免責あり)なので、「免責事由の有無にかかわらず」責任を負うとする点が誤りです。
無過失責任を負うのは所有者(賃貸人である区分所有者)です。
よって不適切なものはイ・ウです。
【ポイント】
工作物責任は「第一次的に占有者(免責あり)、次いで所有者(免責なし)」です。
占有者も使用方法については規約・集会決議に拘束される点(区分所有法46条2項)をセットで覚えましょう。
※区分所有建物では、建物の設置・保存の瑕疵は共用部分の設置・保存にあるものと推定される(区分所有法9条)点もあわせて押さえましょう。