正解を2つ選んでください。
正答1・4
解説
正解は1・4(公式発表により両方正解)。
「最も不適切なもの」を一つ選ぶ問題ですが、1と4の双方に誤りがあったため、両方が正解とされました。
令和3年改正民法(令和5年4月施行)で新設された共有・財産管理制度の知識を問う問題です。
【選択肢別解説】
1:× 共有者やその所在が分からない建物について裁判所が命ずるのは「所有者不明建物管理命令」であり、選任されるのは「所有者不明建物管理人」です(民法264条の8)。
「管理不全建物管理人」は、所有者による管理が不適当であることによって他人の権利が侵害されるおそれがある建物について選任されるもので、所在不明を要件とする制度ではありません(民法264条の14)。
2:○ 共有者が1年以内に管理費用の負担義務を履行しないときは、他の共有者は、相当の償金を支払ってその者の持分を取得することができます(民法253条2項)。
3:○ 各共有者は、他の共有者が分割によって取得した物について、売主と同じく、その持分に応じて担保の責任を負います(民法261条)。
4:× 共有物の全部又は持分が相続財産に属し、遺産分割をすべきときは、原則として共有物分割訴訟(裁判による分割)はできません(民法258条の2第1項)。
その例外として、相続開始から10年を経過すれば裁判による分割ができるのは、「共有物の持分」が相続財産に属する場合に限られます(同条2項)。
記述は「共有物の全部」が相続財産である場合も含めて10年経過後は裁判分割ができるかのように述べている点が誤りです。
共有物の全部が相続財産であれば、10年経過後も遺産分割手続で分けることになります。
【ポイント】
所在不明なら「所有者不明建物管理命令」、管理不全で他人に迷惑なら「管理不全建物管理命令」と、要件で区別しましょう。
なお、両制度とも区分所有建物の専有部分・共用部分には適用されない点(区分所有法6条4項)もあわせて押さえておきましょう。
※2026年4月施行の改正区分所有法では、区分所有建物向けに所有者不明専有部分管理命令・管理不全専有部分管理命令などの制度が新設されています。