甲マンションの住戸301号室を所有するAが、債権者Bのために301号室の区分所有権にBの抵当権を設定及び登記した場合に関する次の記述のうち、民法、区分所有法、民事執行法及び判例によれば、最も適切なものはどれか。
なお、301号室の区分所有権には、Bの抵当権以外に担保権は設定されていないものとする。
正答3
解説
正解は3。
区分所有法7条の先取特権と抵当権の優劣、抵当権の効力が及ぶ範囲を問う問題です。
【選択肢別解説】
1:× 区分所有法7条の先取特権は、優先権の順位及び効力については共益費用の先取特権(一般の先取特権)とみなされます(区分所有法7条2項)。
一般の先取特権は、不動産について登記をしなくても、特別担保を有しない債権者には対抗できるため(民法336条)、行使するのに先取特権の登記は必要ありません。
2:× 共用部分の共有持分は専有部分の処分に従い、専有部分と分離して処分することはできません(区分所有法15条)。
したがって抵当権の効力は共用部分の共有持分にも当然に及び、抵当権設定契約の「別段の定め」によって共用部分の持分を除外することはできません。
3:○ 一般の先取特権は、登記をした第三者(抵当権者)に対抗することができません(民法336条ただし書)。
登記を備えたBの抵当権は、未登記の管理組合の先取特権に優先するため、Bが物上代位(民法372条、304条)に基づき賃料債権を差し押さえた場合、管理組合はBに優先することはできません。
4:× 抵当権の効力が及ぶのは、抵当不動産に付加して一体となっている物(民法370条)と、判例上の従物です。
区分所有者が専有部分に備え付けた家具等の動産一般に及ぶわけではなく、「建物に備え付けた動産」を目的とするのは区分所有法7条の先取特権の特徴です。
抵当権について「先取特権と同様に動産に及ぶ」とする点が誤りです。
また、付加一体物には抵当権設定後に付加された物にも効力が及ぶため、「設定時に存在した動産に限られる」とする点も正確ではありません。
【ポイント】
管理費の先取特権は「一般の先取特権」扱いで、登記不要で行使できる一方、登記済みの抵当権には劣後します。
先取特権の目的物は「区分所有権+建物に備え付けた動産」である点が抵当権との違いです。