〔事例〕
Aさん(85歳、女性、要介護1)は、B住居型有料老人ホームで暮らしている。
子どもはなく、親族もいない。
Aさんは現在、外部の事業所から訪問介護サービスを週2回利用している。
Aさんは駐車場を経営していて、毎月その収入がある。
最近、C訪問介護員(ホームヘルパー)は、Aさんの居室内の冷蔵庫の中に同じ食材がたくさん入っていることが多く、気になっていた。
ある日、C訪問介護員(ホームヘルパー)がAさんに尋ねると、「近所のスーパーに買い物に行くのが楽しみだが、冷蔵庫の中に何があるのか忘れてしまい、同じものばかり買ってしまう」と答えた。
また、「今は、毎月振り込まれる駐車場収入の管理ができているが、今後管理できなくなることが不安だ」と話した。
その後、Aさんは、初期のアルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)の診断を受けた。
次のうち、Aさんが不安に思っている駐車場収入の管理について、訪問介護事業所のサービス提供責任者がAさんに提案する制度として、最も適切なものを1つ選びなさい。
正答1
解説
正解は1です。
将来の財産管理に不安をもつ認知症の人に提案する制度を問う問題です。
事例のAさんは、「子どもはなく、親族もいない」状況で、「今は、毎月振り込まれる駐車場収入の管理ができているが、今後管理できなくなることが不安だ」と話しています。
その後、初期のアルツハイマー型認知症と診断されました。
【選択肢別解説】
1:○ 成年後見制度は、判断能力が不十分な人の財産管理や契約などを支援する制度です。
判断能力があるうちに将来の後見人を決めておく任意後見制度も含まれ、駐車場収入の管理への不安に応えられます。
2:× 生活保護制度は、生活に困窮している人に最低限度の生活を保障する制度です。
Aさんには駐車場の収入があり、財産管理の不安に応える制度でもありません。
3:× 老齢年金制度は、高齢になったときに年金を支給する所得保障の制度です。
財産の管理を支援する制度ではありません。
4:× 継続雇用制度は、定年後も引き続き働けるようにする雇用の制度です。
Aさんの財産管理の不安とは関係がありません。
5:× 後期高齢者医療制度は、75歳以上の人などを対象とする医療保険の制度です。
財産の管理を支援する制度ではありません。
【ポイント】
判断能力があるうちは任意後見制度、判断能力が不十分になってからは法定後見制度(後見・保佐・補助)を利用します。
身寄りのない人の財産管理を考えるときに、まず思い浮かべたい制度です。