〔事例〕
Aさん(50歳、男性、障害支援区分3)は、中度の知的障害がある。
身体機能に問題はないが、遂行機能に障害がある。
短い言葉での意思表示はできる。
両親は亡くなっている。
姉が近くに住んでいるが、同居は難しく、共同生活援助(グループホーム)へ入居した。
入居時に短期目標を「生活のリズムを整える」と設定し、順調に進んでいた。
日中は就労継続支援B型事業所に通っている。
共同生活援助(グループホーム)の生活に慣れてきた頃、Aさんは日中活動を休むようになった。
心配した生活支援員が居室を訪ねると、Aさんが、「昨日も、遊びに来た隣室の友人が、散らかっている部屋を見て笑った。前はきれいにできていたのに」と自信をなくしている様子であった。
生活支援員がAさんの居室を確認すると、趣味で集めているアニメグッズや衣服が増えていて、きれいにしていた自室内に散乱していた。
後日、カンファレンスが開かれ、短期目標についての見直しが検討された。
次の記述のうち、見直された短期目標として、最も適切なものを1つ選びなさい。
正答5
解説
正解は5です。
利用者の状態の変化を受けて、短期目標をどのように見直すかを問う問題です。
事例のAさんには「遂行機能に障害」があり、物が増えたことで部屋を片付けられなくなりました。
「前はきれいにできていたのに」と自信をなくし、日中活動も休むようになっています。
【選択肢別解説】
1:× アニメグッズの収集は、Aさんの大切な趣味です。
趣味を変更させることは本人の楽しみを奪い、自信の回復にもつながりません。
2:× 現在の自室は物が散乱している状態です。
この状態を維持しても、Aさんの課題は解決しません。
3:× 衣服を部屋の隅に寄せるだけでは、整理された状態にはなりません。
「前のようにきれいにしたい」というAさんの思いにも応えていません。
4:× 日中活動を休むようになった原因は、事業所ではなく、部屋の片付けができずに自信をなくしたことにあります。
事業所を変更しても課題は解決しません。
5:○ 自室を整理整頓できるようになれば、Aさんは「きれいにできた」という自信を取り戻せます。
遂行機能障害に配慮して手順を示すなどの支援を組み合わせることで、達成可能な目標になります。
【ポイント】
短期目標の見直しでは、課題の原因に直接働きかけ、本人が達成感を得られる目標を設定します。
本人の趣味や大切にしているものを否定しない視点も重要です。