Aさん(62歳、男性、要介護2)は、2年前に筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)と診断された。
妻と自宅で過ごしたいと希望し、訪問介護(ホームヘルプサービス)と訪問看護を利用している。
最近、症状が進行し、サービス担当者会議で、Aさんは、「人工呼吸器はつけないで、最期まで自宅で生活したい」と言った。
会議のあと、妻は訪問介護員(ホームヘルパー)に、「夫にはなかなか言えないのですが、一日でも長く一緒にいたいので、私は人工呼吸器をつけてほしいと思っています」と気持ちを伝えた。
次のうち、Aさんの妻に対する訪問介護員(ホームヘルパー)の提案として、最も適切なものを1つ選びなさい。
正答4
解説
正解は4です。
本人と家族の意向が異なる場面で、訪問介護員がどのように家族を支えるかを問う問題です。
妻は「夫にはなかなか言えない」と話しており、夫婦の間で本当の気持ちが共有されていないことが課題です。
【選択肢別解説】
1:× Aさんの意思だけを優先するよう促すと、妻の気持ちを否定することになります。
妻が打ち明けた思いを受け止めずに結論を示すのは適切ではありません。
2:× 「私にはわからない」と判断を医師に任せるのは、相談を受けた立場として妻の思いに向き合っていません。
人工呼吸器を装着するかどうかは、医療的な説明を受けたうえで本人と家族が話し合って決めることです。
3:× 訪問介護員が妻の側に立って結論を誘導しており、Aさんの自己決定を損ないます。
介護職は一方の意見に加担せず、中立的な立場で支援します。
4:○ 夫婦がお互いの気持ちを伝え合う機会をつくることは、妻の思いを尊重しながら、Aさんの意思決定も支える提案です。
人生の最終段階の医療やケアは、本人と家族が繰り返し話し合うことが大切とされています。
5:× 病院や施設の情報を求める提案は、自宅で最期まで暮らしたいというAさんの意思に沿っていません。
妻もまだ療養場所の変更を望んでいるわけではありません。
【ポイント】
本人と家族の意向がずれているときは、どちらかに決めさせるのではなく、話し合いの場をつくる支援が基本です。
これはアドバンス・ケア・プランニング(人生会議)の考え方にも通じます。