〔事例〕
Dさん(男性、障害支援区分4)は、ベッカー型筋ジストロフィー(Becker muscular dystrophy)である。
自宅で家族と生活をしている。
Dさんは、食事は自立しているが、排泄、入浴に介護が必要である。
歩行はできず、移動は電動車いすを使用している。
絵を描くことが趣味であり、日中は創作活動に取り組んでいる。
これまでDさんは自宅で家族の介護を受けながら生活してきたが、Dさんの身体機能の低下に伴い、家族の介護負担が増えたため、居宅介護を利用することになった。
Dさんが居宅介護を利用してから数年が経過し、Dさんの身体機能は徐々に低下して、着替えに時間がかかるようになった。
Dさんは自分のことはできるだけ自分で行いたいという思いがあり、時間がかかっても自分で着替えをしていた。
ある日、DさんはF介護福祉職に、「着替えをすると疲れてしまい、絵を描くことができない」とつぶやいた。
F介護福祉職は、「着替えは私たちや家族の介護を利用して、Dさんは好きな絵を描いたらいいのではないですか」と伝えた。
その後、Dさんは介護福祉職と家族の介護を利用して、短時間で着替えを済ませ、絵を描くことに専念できるようになった。
F介護福祉職が発言した自立観を示した人物として、最も適切なものを1つ選びなさい。
正答3
解説
正解は3です。
Dさんは自分で着替えをしていましたが、「着替えをすると疲れてしまい、絵を描くことができない」と話しました。
F介護福祉職は「着替えは介護を利用して、好きな絵を描いたらいい」と伝えています。
介護を受けることで、自分が大切にしたい活動に時間と力を使えるという自立の考え方です。
【選択肢別解説】
1:× ヴィクトール・フランクルは、強制収容所での体験をもとに、人生の意味を見いだすことの大切さを説いた精神科医です。
この自立観を示した人物ではありません。
2:× バンク-ミケルセンは、デンマークでノーマライゼーションの理念を提唱した人物です。
障害のある人が普通の生活を送れる社会を目指しました。
3:○ エド・ロバーツは、アメリカで自立生活運動(IL運動)を主導した人物です。
介助を受けながらでも、自分で選択し決定して生活することこそが自立であるという考え方を示しました。
4:× フェリックス・バイステックは、援助関係の基本となる「バイステックの7原則」を示した人物です。
5:× ミルトン・メイヤロフは、著書『ケアの本質』で、ケアとは相手の成長を助けることだと述べた人物です。
【ポイント】
自立生活運動では、身の回りのことを自分で行う「身辺自立」よりも、自分で選んで決める「自己決定」を自立の中心と考えます。
「介助を受けて15分で着替えて外出できる人は、2時間かけて自分で着替えても家にいるしかない人より自立している」という考え方がよく知られています。