〔事例〕
Bさん(50歳、男性、障害支援区分3)は、49歳のときに脳梗塞(cerebral infarction)を発症し、左片麻痺で高次脳機能障害(higher brain dysfunction)と診断された。
以前は大工で、手先が器用だったと言っている。
現在は就労継続支援B型事業所に通っている。
短期目標を、「右手を使い、作業を自分ひとりで行える(3か月)」と設定し、製品を箱に入れる単純作業を任されていた。
ほかの利用者との人間関係も良好で、左片麻痺に合わせた作業台で、毎日の作業目標を達成していた。
生活支援員には、「将来は手先を使う仕事に就きたい」と希望を話していた。
将来に向けて、生活支援員が新たに製品の組立て作業を提案すると、Bさんも喜んで受け入れた。
初日に、「ひとりで頑張る」と始めたが、途中で何度も手が止まり、完成品に不備が見られた。
生活支援員が声をかけると、「こんなの、できない」と大声を出した。
Bさんに対するカンファレンス(conference)が開催され、短期目標を達成するための具体的な支援について見直すことになった。
次の記述のうち、見直した支援内容として、最も適切なものを1つ選びなさい。
正答3
解説
正解は3です。
短期目標の達成に向けて、支援内容をどう見直すかを問う事例問題です。
短期目標は「右手を使い、作業を自分ひとりで行える(3か月)」です。
Bさんには高次脳機能障害があり、組立て作業の途中で手が止まってしまいました。
【選択肢別解説】
1:× 反省を促すと、うまくできなかったBさんの自尊心を傷つけ、意欲を下げます。
不備の原因は本人の努力不足ではなく、作業の難しさにあると考えられます。
2:× 左片麻痺の人は、左側への注意が向きにくい左半側空間無視を伴うことがあります。
左側に部品を置くと、かえって作業しにくくなるおそれがあります。
3:○ 完成までの手順を、図や写真、手順書などで分かりやすく示します。
高次脳機能障害があっても手順を確かめながら作業でき、「自分ひとりで行える」という目標に近づけます。
4:× 生活支援員が横に座り続けて指示を出すと、Bさんが自分で考えて作業する機会がなくなります。
「自分ひとりで行える」という短期目標に反します。
5:× 単純作業を同時に行うよう調整すると、作業の負担が増えます。
注意を分けることが難しい高次脳機能障害のある人には、かえって混乱を招きます。
【ポイント】
高次脳機能障害のある人の支援では、手順を一つずつ分けて示す、目で見て分かる手がかりを使うなどの工夫が有効です。
本人の「自分でやりたい」という思いを尊重することも大切です。