〔事例〕
Fさん(50歳、女性、障害支援区分5)は、アテトーゼ型(athetosis)の脳性麻痺(cerebral palsy)による四肢・体幹機能障害がある。
居宅介護を利用し、入浴の支援を受けながら母親(79歳)と暮らしていた。
Fさんは障害基礎年金1級を受給していて、Fさん名義の貯蓄がある。
金銭管理は母親が行っていた。
Fさんは、3年前に誤嚥性肺炎(aspiration pneumonia)で入院したことがある。
言語障害があり、慣れた人でないと言葉が聞き取りにくい。
自宅では車いすに乗り、足で床を蹴って移動し、屋外は母親が車いすを押していた。
Fさんは自宅内の移動以外の日常生活については、母親から全面的に介護を受けて生活していた。
最近、日中活動の場と短期入所(ショートステイ)の利用について、市の障害福祉課に相談するようになった。
ところが、母親が持病の心疾患(heart disease)で亡くなり、市の障害福祉課がFさんと当面の生活について検討することになった。
Fさんは1人で生活することは難しいと思い、施設入所を希望している。
Fさんは、障害者支援施設に入所できることになり、アセスメント(assessment)が行われた。
相談支援専門員は、Fさんの希望をもとに、これまでの生活状況と身体の様子等から、もう少し本人にできることがあるのではないかと考え、「障害者支援施設で施設入所支援と生活介護を利用しながら、将来の生活を考える」という方針を立てた。
また、長期目標を、「自分に適した介護を受けながら、様々な生活経験を積む」とした。
Fさんの短期目標として、最も適切なものを1つ選びなさい。
正答5
解説
正解は5です。
施設入所支援の個別の短期目標を立てる問題です。
相談支援専門員は「もう少し本人にできることがあるのではないか」と考え、長期目標を「自分に適した介護を受けながら、様々な生活経験を積む」としました。
Fさんはこれまで「自宅内の移動以外の日常生活については、母親から全面的に介護を受けて」おり、日中活動の場について相談していたこともあります。
短期目標は、この長期目標に沿って、生活経験を広げる具体的な内容にします。
【選択肢別解説】
1:× 入浴時に自分でからだを洗うことは、不随意運動のあるFさんには負担が大きく、入所直後の目標として現実的ではありません。
長期目標の「様々な生活経験を積む」とも直接結びつきません。
2:× 毎日字を書く練習をして筆談することは、手の不随意運動があるFさんには困難です。
生活経験を広げるという長期目標とも結びつきません。
3:× 車いす介助を受けて移動することは、Fさんの力を生かしていません。
Fさんは自宅では足で床を蹴って自分で移動できていました。
4:× 経管栄養で食事をとることは、目標にすべき内容ではありません。
誤嚥性肺炎の既往はありますが、現在は口から食べており、食事の方法の判断は医療職が行います。
5:○ 日中活動として外出や興味のあるグループ活動に参加することが適切です。
施設での生活を基盤にしながら、様々な経験を積むという長期目標に直接つながります。
【ポイント】
短期目標は、長期目標に沿い、本人の希望と力を踏まえた実現可能な内容にします。
長く家族の介護に頼ってきた人には、自分で選び経験する機会を少しずつ増やす支援が大切です。