〔事例〕
Cさん(83歳、女性)は、一人暮らしで、近所に買い物に行く以外はテレビを見て過ごしている。
近県に息子がいるが、仕事が忙しく、会いに来ることはあまりなかった。
ある日、息子が久しぶりに訪問すると、部屋の中がごみや衣類などで散らかっていた。
病院を受診するとCさんはアルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)と診断され、要介護1と認定された。
Cさんは、時々、電気湯沸しポットの使い方がわからなくなって湯が出せなかったり、お茶を入れる順番がわからずに混乱する様子が見られた。
心配した息子は、介護保険サービスを利用することにした。
後日、介護支援専門員(ケアマネジャー)が訪問し、介護保険サービスの利用についてCさんや息子と話し合った。
週2回、訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用することになり、介護支援専門員(ケアマネジャー)は、「自宅で、衛生的な生活ができる」をケアプランの長期目標とした。
Cさんは、たびたび息子に電気湯沸しポットが壊れていると訴えるようになった。
Cさんのこのような状態に該当するものとして、適切なものを1つ選びなさい。
正答3
解説
正解は3です。
アルツハイマー型認知症の中核症状の種類を判断する問題です。
Cさんは「電気湯沸しポットの使い方がわからなくなって湯が出せなかったり、お茶を入れる順番がわからずに混乱する」様子があります。
そして、たびたび「ポットが壊れている」と訴えるようになりました。
手順を組み立てて実行できず、うまくいかない理由をポットの故障と考えている状態です。
【選択肢別解説】
1:× 空間認知障害は、物の位置関係や距離、方向をつかめなくなる障害です。
道に迷う、物にぶつかるなどの症状で、手順の混乱とは異なります。
2:× 視覚認知障害は、目は見えているのに、見たものの形や意味を正しくとらえられなくなる障害です。
Cさんがポットを認識できていないわけではありません。
3:○ 遂行機能障害が適切です。
計画を立てて順序よく物事を実行する力が低下するため、ポットの操作やお茶を入れる手順がわからなくなります。
4:× 失認は、感覚器に異常がないのに、対象が何かを認識できなくなる障害です。
Cさんはポットをポットとして認識しています。
5:× 観念運動失行は、手を振るなど習慣的な動作を、指示されると行えなくなる障害です。
道具を使う一連の手順が組み立てられない今回の状態とは異なります。
【ポイント】
遂行機能障害では、料理や家電の操作など、複数の手順を組み合わせる作業が難しくなります。
手順を一つずつ声かけで伝える、手順を絵や文字で示すなどの支援が有効です。