〔事例〕
Kさん(83歳、女性、要介護3)は、10年前の脳出血(cerebral hemorrhage)による後遺症で高次脳機能障害(higher brain dysfunction)がある。
感情のコントロールが難しく、興奮すると大声をあげて怒りだす。
現在は、訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用しながら、自宅で長男(60歳)と二人暮らしをしている。
長男は、会社を3年前に早期退職し、Kさんの介護に専念してきた。
顔色が悪く、介護による疲労を訴えているが、「介護を続けて、母を自宅で看取りたい」と強く希望している。
別居している長女は、長男の様子を心配して、「母親の施設入所の手続きを進めたい」という意向を示している。
長男に対する訪問介護員(ホームヘルパー)の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
正答3
解説
正解は3です。
自宅での看取りを望む家族介護者への関わり方を問う問題です。
長男は「顔色が悪く、介護による疲労を訴えている」一方で、「母を自宅で看取りたい」と強く希望しています。
長女は施設入所を望んでおり、家族の意向が分かれている場面です。
訪問介護員はどちらかの意向に肩入れするのではなく、まず長男の思いを受け止めて理解することから始めます。
【選択肢別解説】
1:× 意向を変える必要はないと励ますのは、長男の疲労を見過ごすことになります。
介護の負担や今後の見通しを一緒に考える姿勢が必要です。
2:× 長男の希望は通らないと伝えるのは、長男の思いを否定する対応です。
Kさん本人の意向を確かめることは大切ですが、それを理由に長男の希望を退けてはいけません。
3:○ これまでの介護をねぎらい、看取りを希望する理由を尋ねるのが適切です。
長男の思いを理解することで、負担を軽くするサービスの検討など、今後の支援につなげられます。
4:× 在宅生活の継続は限界だと説明するのは、訪問介護員の一方的な判断の押しつけです。
継続できるかどうかは、家族や介護支援専門員などと話し合って検討します。
5:× 長女の意向が正しいと伝えるのは、家族の一方の側に立つ対応です。
長男との信頼関係を損ない、家族間の対立を深めるおそれがあります。
【ポイント】
家族の意向が分かれるときは、それぞれの思いを丁寧に聴き、本人の意向も含めて話し合える場をつくります。
介護者の疲労に気づいたら、介護支援専門員に伝えてサービスの見直しにつなげます。