〔事例〕
Kさん(80歳、女性)は夫が亡くなった後、自宅で一人暮らしをしていた。
ある日、一人娘のLさんが訪ねると、ごみが散乱しており、冷蔵庫の中には古くなった食材がたくさん入っていた。
変化に驚いたLさんはKさんと病院を受診したところ、認知症(dementia)と診断された。
Lさんは、Kさんに家庭的な雰囲気の中で生活をしてほしいと考えた。
その結果、Kさんは認知症対応型共同生活介護(グループホーム)を利用することになった。
入居して1週間が経過し、Kさんと関わったM介護福祉職は、Kさんは短期記憶の低下により、最近の出来事については話すことは難しいが、自分が学校に通っていた頃の話や、子どもの頃に歌っていた歌については生き生きと話すことを確認した。
M介護福祉職は、Kさんが今持っている認知能力を活用して、ほかの利用者と交流する機会を作りたいと考え、Kさんとほかの利用者に参加してもらう活動を企画することにした。
M介護福祉職が企画した活動の手法として、最も適切なものを1つ選びなさい。
正答4
解説
正解は4です。
M介護福祉職は、Kさんが「最近の出来事については話すことは難しい」一方で、「学校に通っていた頃の話や、子どもの頃に歌っていた歌については生き生きと話す」ことを確認しています。
認知症では、昔の記憶(長期記憶)は比較的保たれやすいため、これを生かした活動が適しています。
【選択肢別解説】
1:× リアリティ・オリエンテーションは、日付や場所、季節などの情報を繰り返し伝えて見当識を高める手法です。
Kさんの保たれている昔の記憶を生かす活動ではありません。
2:× ピアカウンセリングは、同じ立場や悩みをもつ仲間どうしが対等に相談し合う手法です。
M介護福祉職が企画した活動には当たりません。
3:× スーパービジョンは、経験のある職員が、ほかの職員に指導や助言を行うことです。
利用者に参加してもらう活動ではありません。
4:○ 回想法は、昔の思い出を語り合うことで、心の安定や自尊心の回復、他者との交流を促す手法です。
Kさんが生き生きと話せる学校時代や子どもの頃の歌を題材にでき、ほかの利用者との交流の機会にもなります。
5:× 社会生活技能訓練(SST)は、対人関係などの社会生活の技能を練習する手法で、主に精神障害のある人に用いられます。
【ポイント】
回想法は「昔の記憶」を生かし、リアリティ・オリエンテーションは「今の見当識」を補う手法です。
両者の違いがよく出題されます。