〔事例〕
Jさん(83歳、女性)は一人暮らしである。
人と付き合うのが苦手で、近所付き合いもあまりなく、一人で静かに生活していた。
80歳を過ぎた頃から右膝に痛みが出て、変形性膝関節症(knee osteoarthritis)と診断されたが、近くのスーパーへの買物や、近所の散歩には出かけていた。
1か月ほど前から膝の痛みが悪化し、散歩にも行かなくなった。
食事量が減って痩せてきてしまい、一日中、座ってテレビを見て過ごしている。
Jさんは、食事量は回復したが、膝に痛みがあり、家の中ではつかまり歩きをしていた。
要介護認定を受けたところ要支援2と判定され、家の近くの第一号通所事業(通所型サービス)を利用することになった。
通所初日、車で迎えに行くと、Jさんは、「心配だからやっぱり行くのはやめようかしら」と介護福祉職に言い、玄関の前からなかなか動かなかった。
このときの介護福祉職の言葉かけとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
正答4
解説
正解は4です。
Jさんは「人と付き合うのが苦手」で、通所初日に「心配だからやっぱり行くのはやめようかしら」と迷っています。
初めての場所への不安を受け止め、安心して一歩を踏み出せるよう支えることが求められます。
【選択肢別解説】
1:× 急がせると、Jさんの不安をさらに強めます。
本人の気持ちを受け止めずに行動を急かすのは適切ではありません。
2:× すぐに休みにすると、Jさんが活動や交流の機会を得る支援につながりません。
不安を受け止めたうえで、行動を後押しすることが大切です。
3:× Jさんは家の中でつかまり歩きができています。
不安は歩行ではなく初めての場所への心配であり、車いすの提案は的外れです。
4:○ 「初めてだから心配ですね」とJさんの不安に共感し、「私もそばにいる」と安心感を与えています。
そのうえで一緒に行くことを提案しており、本人の気持ちに寄り添った対応です。
5:× 「皆さん困ってしまいますよ」は、Jさんに罪悪感を与えて行動を強いる言葉です。
本人の気持ちを尊重していません。
【ポイント】
不安を訴える人には、まず気持ちに共感し、次に安心できる材料を示して、本人が自分で決められるよう支えます。