〔事例〕
Fさん(85歳、女性)は、中等度の認知症(dementia)がある。
同居していた娘の支援を受けて生活してきたが、症状が進行してきたために、介護老人福祉施設への入所が決まった。
入所当日、介護福祉職はFさんの付き添いで来た娘に初めて会った。
介護福祉職が、「はじめまして。よろしくお願いします」と挨拶をすると、娘は少し緊張した様子で、「お願いします」とだけ答えた。
娘は、介護福祉職の問いかけに応えるまで時間がかかり、また、あまり多くを語ることはなかった。
持参した荷物の整理を終えて帰宅するとき、娘が寂しそうに、「これから離れて暮らすんですね」とつぶやいた。
帰宅するときの娘の発言に対する、介護福祉職の共感的な言葉かけとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
正答5
解説
正解は5です。
共感的な言葉かけとは、相手の感情を感じ取り、それを言葉にして返すことです。
娘は寂しそうに「これから離れて暮らすんですね」とつぶやいています。
この寂しさをそのまま受け止めて言葉にすることが求められます。
【選択肢別解説】
1:× 「心配しなくても大丈夫」は励ましや保証の言葉です。
娘の寂しさを受け止めないまま、気持ちを打ち消してしまいます。
2:× 「私も寂しい気持ちは一緒です」は、介護福祉職自身の気持ちを語る同情的な発言です。
初対面の介護福祉職が娘と同じ寂しさを感じているとはいえず、共感とは異なります。
3:× 「明るく笑顔でいましょう」は、娘に感情を抑えるよう求める言葉です。
今の寂しさを受け止めていません。
4:× 毎日会いに来るよう求めるのは、娘に負担を与える指示です。
共感的な言葉かけではありません。
5:○ 「離れて暮らすと寂しくなりますね」は、娘の言葉の背後にある寂しさを感じ取り、言葉にして返しています。
娘は気持ちをわかってもらえたと感じることができます。
【ポイント】
共感は「相手の感情を相手の立場で理解し、それを伝え返すこと」です。
励まし・同情・助言とは区別して覚えましょう。