40歳の女性。
初発の両側性顎関節前方脱臼で来所した。
整復を行ったが、下顎の片側偏位が残存した。
整復前と比較し疼痛は減少し会話が可能となり、口の開閉もわずかに可能となった。
考えられるのはどれか。
正答1
解説
正解は1です。
顎関節前方脱臼は、大きく開口したとき下顎頭が関節結節を越えて前方に外れ、閉口できなくなるものです。
両側性脱臼を整復した後に片側偏位だけが残り、疼痛が減って会話やわずかな開閉口ができる経過から、片側の関節に何が残っているかを考えます。
【選択肢別解説】
1:○ 片側顎関節円板前方転位の残存が考えられます。
片側の関節で関節円板が前方に転位したまま残ると、その側の下顎頭が正常な位置に収まらず、下顎が片側に偏位します。
下顎頭の脱臼そのものは整復されているため、疼痛が減り会話やわずかな開閉口が可能になっています。
2:× 顔面神経麻痺の合併は考えにくいです。
顔面神経は表情筋を支配する神経で、麻痺しても下顎の偏位は生じず、閉眼困難や口角下垂などがみられます。
3:× 整復時の下顎頭の骨折は考えにくいです。
下顎頭骨折が起これば疼痛が強まり開口障害が悪化するはずで、整復後に疼痛が減少した経過と合いません。
4:× 顎関節内障の続発は考えにくいです。
顎関節内障は時間をかけて生じる慢性の関節障害であり、整復直後に続発したとは考えにくいです。
【ポイント】
両側性顎関節脱臼では、整復後に下顎の偏位が残っていないか、咬み合わせを必ず確認します。
片側脱臼が残る場合は、下顎が健側へ偏位するという原則もあわせて覚えます。