72 歳の女性。
5 日前にベッドから転落し、床で右肩を強打した。
右肩外上部の腫脹と皮下出血斑に気付き来所した。
右肩関節の挙上は疼痛のため困難である。
後日、医科で撮影した単純エックス線写真(別冊 No. 4)を別に示す。
正しいのはどれか。
正答4
解説
正解は4です。
72歳の女性が転落して右肩外上部を強打し、同部の腫脹と皮下出血斑、挙上困難がみられます。
単純エックス線写真では、右鎖骨の外側端部(肩鎖関節の近く)に骨折線があります。
内側の骨片(鎖骨本体)が外側の骨片より上方へずれ、骨片の間に段差ができています。
鎖骨外端部骨折で、内側骨片が上方へ転位した像です。
【選択肢別解説】
1:× 頸静脈の怒張は本例の所見ではありません。
頸静脈の怒張は心タンポナーデや緊張性気胸など、静脈の還流が妨げられる病態でみられます。
2:× 腋窩神経麻痺を合併するのは、主に肩関節脱臼や上腕骨外科頸骨折です。
鎖骨外端部骨折で合併することは通常ありません。
3:× 保存療法で予後良好とはいえません。
烏口鎖骨靱帯が断裂した型では、内側骨片が上方へ引き上げられて骨片の間が離れます。
そのため保存療法では偽関節になりやすい骨折です。
4:○ 烏口鎖骨靱帯の断裂を考慮します。
烏口鎖骨靱帯は鎖骨を烏口突起へつなぎとめ、上方への浮き上がりを防いでいます。
この靱帯が切れると、内側骨片が胸鎖乳突筋に引かれて上方へ転位します。
写真のように内側骨片が上方へずれている場合は、この靱帯の断裂を考えます。
【ポイント】
鎖骨外端部骨折は、烏口鎖骨靱帯の損傷の有無で予後が変わります。
靱帯断裂型は骨片が離れて偽関節になりやすく、観血療法の適応となりやすい骨折です。