76 歳の女性。
重い段ボールを持ったあとから右示指が屈曲しにくいことを主訴に来院した。
手指屈曲時の写真(別冊 No. 3)を別に示す。
考えられるのはどれか。
正答4
解説
正解は4です。
写真は、患者に手指を屈曲させたところです。
ほかの指は握り込めていますが、示指は中手指節関節と近位指節間関節では曲がっているものの、遠位指節間関節(DIP関節)が伸びたままで、指先が手掌側へ巻き込まれていません。
DIP関節だけが自動屈曲できないことは、深指屈筋腱の断裂を示す所見です。
【選択肢別解説】
1:× 側索損傷では屈曲障害は起こりません。
側索は伸展機構の一部で、損傷すると指の伸展障害やボタン穴変形などの伸展機構の異常が生じます。
2:× 伸筋腱損傷では屈曲ではなく伸展が障害されます。
DIP関節付近で断裂すると、指先が曲がったまま伸ばせない槌指(マレット指)になります。
3:× 浅指屈筋腱はPIP関節の屈曲に働く腱です。
単独で損傷しても深指屈筋腱がPIP関節とDIP関節を曲げられるため、写真のようなDIP関節の屈曲障害は起こりません。
4:○ 深指屈筋腱は末節骨の基部に停止し、DIP関節を屈曲させる唯一の筋の腱です。
断裂するとDIP関節を自分で曲げられなくなり、重い物を持ったあとに示指の指先が曲がらないという本例の症状に一致します。
【ポイント】
深指屈筋腱の検査では、PIP関節を固定してDIP関節を屈曲させ、浅指屈筋腱の検査では、ほかの指を伸展位に固定してPIP関節を屈曲させます。
高齢者では骨の変形や変性による腱の摩耗で、軽い負荷でも腱が断裂することがあります。