85歳の女性。
朝の散歩中に手を衝いて転倒し、肩の痛みを感じた。
痛みが引かないため夕方来所した。
肩部の腫脹は著明で、上腕部から前胸部にかけて皮下出血斑がみられた。
肩関節の自動運動はわずかに可能で、異常可動性と軋轢音は触知できなかった。
考えられるのはどれか。
正答3
解説
正解は3です。
高齢女性が手を衝いて転倒し、肩部の著明な腫脹と、上腕部から前胸部へ広がる皮下出血斑がみられた症例です。
自動運動がわずかに可能で、異常可動性と軋轢音を触れないことから、骨片がかみ合った嵌入骨折の外科頸骨折が考えられます。
【選択肢別解説】
1:× 腱板断裂では、上肢の挙上困難や有痛弧徴候がみられます。
骨折ではないため、上腕から前胸部に及ぶ広範な皮下出血斑や肩部の著明な腫脹は起こりにくいです。
2:× 肩関節烏口下脱臼では、肩の丸みが消える角状の変形と、上腕が外転位で動かせない弾発性固定がみられます。
自動運動がわずかでも可能な点が合わず、考えにくいです。
3:○ 上腕骨外科頸骨折は、高齢者が手を衝いて転倒したときに起こりやすい骨折です。
骨片が嵌入していると異常可動性や軋轢音を触れず、自動運動もわずかに可能となるため、所見と一致します。
4:× 上腕二頭筋長頭腱断裂では、肘を曲げたときに上腕前面の筋腹が遠位へ下がって膨隆します。
肩部の著明な腫脹や前胸部に及ぶ皮下出血斑は伴いにくく、考えにくいです。
【ポイント】
嵌入骨折では骨折の固有症状である異常可動性と軋轢音が出ないため、脱臼や軟部組織損傷と見誤らないことが重要です。
骨粗鬆症のある高齢女性では、外科頸骨折、橈骨遠位端骨折、大腿骨頸部骨折、脊椎圧迫骨折が四大骨折です。