24歳の男性。
バレーボール選手である。
2か月前からスパイク時、右肩後方に痛みを自覚し軽減しないため来所した。
図の楕円部に圧痛と筋萎縮があり、MMTで右肩関節外旋筋力のみが4と低下していた。
肩関節の他動的可動域、腱反射、感覚に左右差はなく、スパーリングテストは陰性であった。
考えられるのはどれか。
正答4
解説
正解は4です。
図の楕円は、右肩甲骨の肩甲棘より下の部分、つまり棘下窩を示しています。
棘下窩には棘下筋があり、肩関節の外旋を担います。
本例は外旋筋力のみが低下し、棘下筋部に萎縮があります。
感覚障害や神経根症状がないことから、肩甲上神経損傷が考えられます。
【選択肢別解説】
1:× C7神経根症ではスパーリングテストが陽性となり、上腕三頭筋の筋力低下と腱反射低下、中指の感覚障害がみられます。
本例は腱反射・感覚に左右差がなく、スパーリングテストも陰性です。
2:× 長胸神経損傷では前鋸筋が麻痺し、翼状肩甲がみられます。
棘下窩の萎縮や外旋筋力の低下とは合いません。
3:× 腋窩神経損傷では三角筋と小円筋が麻痺し、肩関節外転筋力の低下と三角筋部の萎縮が目立ちます。
肩外側の感覚障害も伴うため、本例とは合いません。
4:○ 肩甲上神経は棘上筋と棘下筋を支配します。
スパイク動作の繰り返しで肩甲棘基部の棘窩切痕で絞扼されると、棘下筋だけが麻痺します。
その結果、棘下窩の萎縮と外旋筋力の低下が生じ、皮膚の感覚障害は伴いません。
【ポイント】
肩甲切痕での絞扼では棘上筋と棘下筋の両方が、棘窩切痕での絞扼では棘下筋のみが障害されます。
バレーボール選手の利き手側に多いことが知られています。