65歳の女性。
1か月前、自宅の整理をしていて崩れそうになった重い荷物を支えようとしたとき、右上肢痛を自覚した。
約1週で疼痛が軽減し、上肢もあまり不自由なく使えるようになったので放置していたが、肘屈曲時に上腕部の腫れが目立ってきたので来所した。
右上腕前面に握りこぶし大の軟部腫瘤を触知する。
誤っているのはどれか。
正答2
解説
正解は2です。
この問題は誤っているものを選ぶので、○が答え(誤った記述)です。
重い荷物を支えたあと、上腕前面に握りこぶし大の軟部腫瘤が現れています。
上腕二頭筋長頭腱断裂が考えられます。
断裂した長頭の筋腹が遠位に下がり、肘屈曲時に膨らんで見えます(ポパイサイン)。
【選択肢別解説】
1:× 中高年の長頭腱断裂は、結節間溝での摩耗などで腱が変性していることが背景にあり、軽い外力で断裂します。
記述は正しく、答えではありません。
2:○ 長頭腱が断裂すると、肘屈曲力や前腕回外力の最大筋力は軽度に低下します。
短頭や上腕筋が働くため日常生活の支障は少ないですが、最大筋力が正常に保たれるわけではないので誤りです。
3:× 長頭腱断裂は機能障害が軽く、特に高齢者では保存療法が第一選択です。
記述は正しく、答えではありません。
4:× 超音波観察では、結節間溝内に腱が見えないことや、遠位へ退縮した腱の断端を確認できます。
非侵襲的に繰り返し評価できるため有用で、記述は正しく答えではありません。
【ポイント】
上腕二頭筋の腱断裂は長頭腱の近位部に多く、遠位腱の断裂はまれです。
遠位腱断裂では肘屈曲力と回外力の低下が大きく、手術が検討されます。