80歳の女性。
玄関で転倒し手を衝き左手首が変形したため来所した。
別に外観写真(別冊No.3a、b)と手関節背側より長軸方向を観察した超音波画像(別冊No.3c)を示す。
施術する際の注意点で誤っているのはどれか。
正答2
解説
正解は2です。
高齢者の橈骨遠位端部骨折(コーレス骨折)の施術上の注意点を問う問題です。
この問題は誤っているものを選ぶので、○ が答え(誤った記述)です。
外観写真の側面像では、手関節の背側が隆起したフォーク状の変形がみられます。
超音波画像では、橈骨背側の骨皮質を示す白い線が途切れ、遠位側が背側へずれて段差を作っています。
これらは遠位骨片の背側転位を示し、コーレス骨折と判断できます。
【選択肢別解説】
1:× 正しい記述です。
80歳の高齢者の転倒では、転倒の原因となった疾患や他部位の骨折、認知機能などを確認する必要があります。
全身状態を確認することは施術の前提です。
2:○ 誤った記述なので、これが答えです。
高齢者では、解剖学的治癒よりも機能的治癒を主眼に置きます。
骨がもろく完全な整復位の保持が難しいうえ、長期固定は関節拘縮や筋力低下を招くからです。
多少の変形が残っても、日常生活に必要な手の機能を回復させることを優先します。
3:× 正しい記述です。
コーレス骨折では、尺骨茎状突起骨折を合併することが多いです。
合併の有無を疑って確認する必要があります。
4:× 正しい記述です。
高齢者は固定によって肩や手指の拘縮を起こしやすいです。
固定部以外の肩・肘・手指は早期から自動運動を行わせます。
【ポイント】
高齢者の骨折は「機能的治癒」を目標とし、早期運動で拘縮を防ぎます。
コーレス骨折はフォーク状変形と、尺骨茎状突起骨折の合併が特徴です。