70歳の女性。
転倒して大腿骨近位部を骨折した。
二重エネルギーエックス線吸収法による腰椎の骨密度は若年成人平均値の 78 %であった。
骨粗鬆症の薬物治療を開始する判断で正しいのはどれか。
正答1
解説
正解は1です。
骨粗鬆症の薬物治療開始基準では、脆弱性骨折の有無と骨密度によって治療開始を判断します。
本症例は転倒という軽い外力で大腿骨近位部を骨折しており、これは脆弱性骨折です。
【選択肢別解説】
1:○ 今すぐに薬物治療を開始します。
大腿骨近位部または椎体の脆弱性骨折がある場合は、骨密度の値にかかわらず骨粗鬆症と診断し、薬物治療を開始します。
大腿骨近位部骨折の後は、反対側の骨折などの再骨折の危険が高いためです。
2:× 喫煙歴は、骨折がない人で治療開始を判断する際の危険因子として考慮されるものです。
本症例は大腿骨近位部骨折があるため、喫煙歴の有無にかかわらず治療を開始します。
3:× 家族歴の有無で治療開始を判断するのは、骨折がない人の場合です。
薬物治療開始基準では、骨折がなく骨密度が若年成人平均値の70%より大きく80%未満の人について、大腿骨近位部骨折の家族歴があれば治療を開始します。
本症例はすでに大腿骨近位部骨折があるため、家族歴を確かめるまでもなく治療を開始します。
4:× 今後骨密度が低下するのを待つ必要はありません。
すでに大腿骨近位部骨折を起こしており、治療を遅らせると次の骨折の危険が高まります。
【ポイント】
骨粗鬆症の診断は「大腿骨近位部か椎体の脆弱性骨折があれば骨密度を問わない」「その他の脆弱性骨折なら骨密度80%未満」「骨折がなければ骨密度70%以下」が基本です。
柔道整復師は脆弱性骨折の背景にある骨粗鬆症にも目を向ける必要があります。