54歳の女性。
散歩中に足を滑らせ右手掌を衝いて転倒し受傷した。
来所時、右肩関節はやや外転し弾発性固定を認めた。
三角筋部の膨隆とモーレンハイム窩が消失していた。
整復前と整復後の単純エックス線写真(別冊No.2)を別に示す。
整復後の固定肢位はどれか。
正答3
解説
正解は3です。
手掌をついて転倒し、肩関節やや外転位での弾発性固定、三角筋部の膨隆消失、モーレンハイム窩の消失がみられます。
これらは肩関節前方脱臼(烏口下脱臼)の所見です。
【図の所見】
整復前の写真では、上腕骨頭が関節窩から内下方へ外れ、烏口突起の下に位置しています。
上腕骨頭の外側、大結節部には骨片が分離しているようにみえます。
整復後の写真では骨頭は関節窩に戻っていますが、大結節部の骨片が残っています。
つまり本例は、大結節骨折を合併した肩関節前方脱臼です。
【選択肢別解説】
1:× 肩関節軽度屈曲内旋位は、大結節骨片を引き離す方向の肢位になります。
大結節には棘上筋・棘下筋が付着しており、内旋位では骨片が後上方へ引かれやすくなります。
2:× 肩関節下垂外旋位は、大結節骨折を合併した脱臼の標準的な固定肢位ではありません。
下垂位では棘上筋の牽引で骨片が上方へ転位するおそれがあります。
3:○ 大結節骨折を合併した場合は、腱板の牽引をゆるめるために肩関節外転外旋位で固定します。
この肢位では骨片が骨頭側に近づき、整復位を保ちやすくなります。
4:× 肩関節内転内旋位は、合併症のない前方脱臼の一般的な固定肢位です。
大結節骨折合併例では骨片の転位を助長するため適しません。
【ポイント】
肩関節前方脱臼の固定は原則として内転内旋位ですが、大結節骨折合併例は外転外旋位が基本です。
脱臼の合併損傷として、大結節骨折と腋窩神経損傷は必ず確認しましょう。