A さん(39 歳、1 回経産婦)、妊娠経過は順調で無痛分娩をする予定だった。
妊娠 37 週 1 日、3 時間前から続く腹痛と性器出血を主訴に、午前 9 時に産婦人科を受診した。
意識は清明だが、痛みのため苦悶様の表情で、子宮は硬い。
バイタルサインは、体温 37.3 ℃、脈拍 69/分、整、血圧 114/72 mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉97 %(room air)。
内診所見は、未破水、子宮口 3 cm 開大、展退度 50 %、Station −1、児頭が触れた。
胎児心拍が消失しており胎児死亡と診断された。
このときの腹部超音波断層法写真(別冊No. 1)を別に示す。
このときの対応で正しいのはどれか。
正答3
解説
正解は3です。
妊娠37週で、腹痛と性器出血、板状に硬い子宮がみられ、胎児死亡と診断されています。
超音波写真では、子宮筋と胎児の間に厚く不均一なエコーの塊が広がっており、胎盤の後ろにできた血腫と考えられます。
これらから常位胎盤早期剝離と判断できます。
【選択肢別解説】
1:× 飲水を促すのは適切ではありません。
常位胎盤早期剝離は播種性血管内凝固(DIC)を合併しやすく、緊急手術の可能性もあるため絶飲食で管理します。
2:× 抗菌薬の準備は優先されません。
発熱は軽度で、感染を示す所見はなく、主な問題は出血と凝固障害です。
3:○ 分娩誘発の準備をするのが正しいです。
胎児がすでに死亡している場合は、母体の凝固機能を監視しながら経腟分娩を目指すのが原則です。
子宮口は3cm開大しており、分娩誘発や人工破膜で分娩を進めます。
4:× 硬膜外麻酔の準備は適切ではありません。
DICで血小板や凝固因子が減少すると、硬膜外血腫を起こす危険があるため禁忌になります。
【ポイント】
常位胎盤早期剝離は、腹痛、性器出血、子宮の硬直(板状硬)、胎児機能不全が典型です。
外出血の量は少なくても内出血が多いことがあるため、凝固検査とバイタルサインを頻回に確認します。