A さん(40 歳、1 回経産婦)は妊娠 35 週 4 日、2 時間ほど持続する下腹部痛が治まらないため、救急外来を受診した。
来院時、A さんは子宮全体に痛みを訴えており苦悶様の表情で、子宮は硬い。
血性の帯下がみられている。
A さんの意識は清明で、バイタルサインは、体温 37.3 ℃、呼吸数 16/分、脈拍 72/分、整、血圧 158/96 mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉95 %(room air)である。
胎児心拍数陣痛図(別冊No. 4)を別に示す。
診断のために最初に行われる検査はどれか。
正答3
解説
正解は3です。
妊娠35週の妊婦が、持続する下腹部痛、子宮全体の痛み、板状に硬い子宮、血性帯下を訴えています。
血圧158/96mmHgと高く、妊娠高血圧症候群を背景とした常位胎盤早期剥離が強く疑われる状況です。
【図の読み取り】
胎児心拍数基線は約150〜160bpmで、子宮収縮は約2分ごとと頻回で、振幅は小さい波形です。
収縮のたびに心拍数が下降し、収縮の頂点より遅れて最下点となる一過性徐脈が繰り返しています。
頻回で小さな子宮収縮と反復する一過性徐脈は、常位胎盤早期剥離でみられる特徴的な所見です。
【選択肢別解説】
1:× 尿検査では蛋白尿を確認でき、妊娠高血圧症候群の評価に役立ちます。
しかし常位胎盤早期剥離の診断のために最初に行う検査ではありません。
2:× 血液検査では、血小板数やフィブリノゲンなどから播種性血管内凝固(DIC)の評価を行います。
重要な検査ですが、まず画像で胎盤と胎児の状態を確認することが先です。
3:○ 超音波検査では、胎盤の後ろの血腫や胎盤の肥厚、胎児の心拍の状態を短時間で確認できます。
前置胎盤との鑑別もでき、診断のために最初に行う検査です。
4:× 胸部エックス線検査は、肺水腫や肺塞栓などの評価に用いる検査です。
本例の下腹部痛と子宮の所見の診断には役立ちません。
【ポイント】
常位胎盤早期剥離は「持続する腹痛、板状硬の子宮、性器出血、胎児心拍数異常」が典型です。
妊娠高血圧症候群は最大のリスク因子で、DICを起こしやすいため迅速な診断と急速遂娩が必要です。