A さん(42 歳、男性)は 2 週間の海外旅行から 9 月 1 日に帰国した。
滞在地では麻しんが流行していたが、帰国時の A さんには特に症状がなく、翌日から 5 日間、会社へ出勤した。
帰国 6 日後に、起床時から発熱がみられたため近くの B 診療所を受診し、解熱薬等の処方を受けた。
その 2 日後に全身の発疹が出現したので再度 B 診療所を受診したところ、麻しんが疑われたため C 病院に紹介され入院となった。
C 病院の医師は入院時点までの A さんの症状および経過から、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律〈感染症法〉に基づき麻しんの発生届を管轄保健所へ提出した。
このときの保健所の対応で適切なのはどれか。
正答2
解説
正解は2です。
麻しんの発生届を受けた保健所の対応を問う問題です。
A さんは麻しんが流行している国から帰国し、帰国6日後に発熱、その2日後に全身の発疹が出現して入院しました。
日本は麻しんの排除状態にあり、麻しんは感染症法の5類感染症として、診断した医師が直ちに届け出る全数把握の対象です。
患者が出た場合は、検査で確定させたうえで、迅速に感染拡大の防止策をとります。
【選択肢別解説】
1:× 麻しん患者の発生を直ちに公表するものではありません。
公表は、検査による確定や感染拡大のおそれなどを踏まえて判断し、個人が特定されないよう配慮して行います。
2:○ A さんに麻しんウイルスのPCR検査を行うことが適切です。
麻しんは臨床症状だけでの診断が難しい場合があるため、原則としてすべての患者について地方衛生研究所などでウイルス遺伝子検査を行い、確定診断とウイルスの遺伝子型の確認を行います。
3:× 麻しんは5類感染症であり、感染症法に基づく入院勧告の対象ではありません。
入院勧告ができるのは、1類・2類感染症や新型インフルエンザ等感染症などです。
4:× 同じ国に滞在した無症状の帰国者に外出自粛を指示する法的根拠はありません。
A さんとの接触がなく、症状もない人に行動制限を求めることは適切ではありません。
5:× 麻しん含有ワクチンの緊急接種は、過去の罹患歴や接種歴に関わらず勧めるものではありません。
罹患歴がなく、ワクチンの接種歴がないか1回だけの人など、免疫が不十分と考えられる接触者に、接触後72時間以内の接種を検討します。
【ポイント】
麻しん患者が発生したときは、検査による確定診断、積極的疫学調査、接触者の健康観察、免疫が不十分な接触者への対応を速やかに行います。
麻しんは感染力が非常に強く、空気感染することを押さえておきましょう。