A さん(60 歳、男性、自営業)は 1 人暮らし。
つまずいたり転んだりすることが多くなり、精密検査のため入院したところ、筋萎縮性側索硬化症〈ALS〉と確定診断された。
近隣に住む弟(57 歳)と一緒に運送業を営んでいたが、運転ができなくなり仕事を辞めた。
弟が保健所に医療費助成申請の手続きのために来所し、保健師が面接したところ「兄は自宅で度々転んでいます。この先どのような生活になるのか不安です」と話した。
保健師は今後の支援体制を検討していくために、入院している医療機関で A さんと面接し「最期まで住み慣れた自宅で誰にも気を遣わず生活したい」という意向を確認し、主治医とも病状について共有した。
退院半年後、病状が進行したため要介護認定申請をしたところ要介護 2 であった。
A さんが弟以外から介護を受けることを拒否したため、介護保険サービスは福祉用具の利用のみとなった。
弟は運送業を続けながら、A さんの入浴介助や排泄後の後始末などを行っている。
保健師が弟へ状況確認のために電話をすると「兄には心配をかけたくないので言えないのですが、毎日、介護と仕事で身体がつらくなってきました」と話した。
保健師の弟への対応で最も適切なのはどれか。
正答1
解説
正解は1です。
ALSの兄の介護と仕事を両立して体のつらさを訴える弟への、保健師の対応を問う問題です。
A さんは要介護2ですが、弟以外からの介護を拒否しているため、介護保険サービスは福祉用具だけです。
弟は運送業を続けながら、入浴介助や排泄後の後始末を担っています。
兄には心配をかけたくないので言えないと話しており、弟の負担を介護の計画に反映させる仕組みが必要です。
【選択肢別解説】
1:○ 介護の負担を感じていることを介護支援専門員に伝えるよう助言することが最も適切です。
介護支援専門員は、ケアプランの作成と調整の担当者です。
弟の負担を共有することで、A さんの意向を尊重しながらサービスの導入を A さんと話し合うなど、具体的な調整が始まります。
2:× ALS患者家族会の情報提供は、同じ立場の家族と思いを共有するうえで役立ちます。
しかし、弟の毎日の身体的な負担を軽くする直接の対策にはなりません。
3:× 介護保険サービスの情報提供だけでは、問題は解決しません。
A さんが弟以外の介護を拒否しているため、サービスを知っていても利用できない状況だからです。
4:× 入浴介助の手技の確認は、介護の方法を見直す機会にはなります。
しかし、弟の訴えは介護と仕事の両立による負担の大きさであり、手技の確認では解決しません。
【ポイント】
介護保険サービスを利用している人の支援は、介護支援専門員を中心に多職種で調整します。
家族介護者の負担も支援の対象であり、本人の意向と家族の負担の両方に目を向けることが大切です。