Aさん(58歳、男性、独居)は1年前に失業した。
その後、就職先が決まらず、預貯金が底をついたが、身寄りがなく身近な相談者もいなかった。
経済苦により3か月前に自殺を図って病院に搬送された。
日常生活動作〈ADL〉は問題なく回復したが、頭を打ったことによる外傷性脳損傷によって軽度の記憶障害が残り、特に数の計算が難しくなった。
また、入院中に生活保護を受給することになった。
生活保護担当の保健師は、その後も A さんのような失業やそれに伴う経済的困窮を契機とした自殺未遂事例と関わることがあり、B 市の自殺対策計画の担当保健師と協働して市全体の自殺の現状を改めて調査・評価することにした。
その結果、壮年期の男性が失業をきっかけとして自殺に至る事例や、自殺未遂後に後遺症や障害が残った事例が近年増加していることが明らかになり、新たな自殺予防対策の啓発活動を進めていくことにした。
この啓発活動への協力を依頼する関係機関として、最も適切なのはどれか。
正答3
解説
正解は3です。
市の自殺の現状を分析した結果、壮年期の男性が失業をきっかけに自殺に至る事例が増えていることがわかりました。
啓発活動は、自殺のリスクを抱える人と接する機会の多い関係機関と協力すると効果的です。
【選択肢別解説】
1:× 民生委員・児童委員協議会は地域の見守りを担いますが、失業した壮年期の男性と接する機会は多くありません。
今回の対象層に届く協力先としては最適ではありません。
2:× 精神科医療機関は自殺未遂者の治療やケアに重要ですが、失業直後で受診していない人には啓発が届きにくいです。
予防的な啓発の協力先としては優先度が低いです。
3:○ ハローワークには失業した人が求職や雇用保険の手続きのために必ず訪れます。
そこで相談窓口の案内などの啓発を行えば、失業をきっかけに自殺のリスクが高まる壮年期の男性に直接届けられます。
4:× 警察は自殺事案の対応や統計の把握に関わりますが、失業者に予防的な啓発を行う機関としては適していません。
【ポイント】
自殺対策では、失業、多重債務、病気などの背景要因に関わる機関(ハローワーク、消費生活センター、医療機関など)との連携が重要です。
対象者が「どこに来るか」を考えて協力機関を選びましょう。