52歳の男性脳梗塞で右片麻痺とブローカ失語を呈した書き取り課題において、漢字の「卵」は正しく書けたが、平仮名の「たまご」は正しく書けなかった理由として考えられるのはどれか
正答3
解説
正解は3です。
日本語の書字では、漢字は語の意味や形から直接書くことができます。
仮名は語を1音ずつ音に分け、各音を文字に変える「音韻-文字変換」が必要です。
仮名だけが書けないことは、この変換過程の障害を示します。
【選択肢別解説】
1:× 書字習慣がないことでは、この症状を説明できません。
習慣の問題であれば、漢字も仮名も同じように書けないはずです。
2:× 単語の心像性が低いことは理由になりません。
「卵」も「たまご」も同じ語で心像性は同じであり、しかも具体的で心像性の高い語です。
3:○ 音韻-文字変換の障害が考えられます。
ブローカ失語では音韻の処理が障害されやすく、音から仮名を選ぶ過程が損なわれます。
4:× 左手で書いていることは理由になりません。
利き手でない手の影響であれば、漢字も同じように書きにくくなるはずです。
5:× 総画数の違いでは説明できません。
確かに「たまご」の3文字を合わせると「卵」より画数は多くなります。
しかし仮名は1文字ずつの字形が単純で、7画の「卵」が書けている以上、画数の差で書けなくなるとは考えにくいです。
【ポイント】
日本語の失語症では、漢字と仮名で成績の差(乖離)がみられることがあります。
仮名の書字は音韻処理に強く依存するため、音韻障害のある失語症では漢字より仮名で誤りが多くなります。
【用語】
音韻ー文字変換:語の音を分解し、それぞれの音に対応する仮名の文字を選んで書く過程である。
心像性:語が表す内容を、視覚的なイメージとして思い浮かべやすい程度を指す。
ブローカ失語:発話が非流暢で、言語理解は比較的保たれる失語症である。