正答3
解説
正解は3です。
広帯域スペクトログラムでは、縦の細い縞が声帯振動(有声音)を、横に伸びる濃い帯がフォルマントを示します。
不規則なざらざらした模様は摩擦音などの雑音成分です。
「お・は・よ・う・ご・ざ・い・ま・す」の9モーラのうち、図にない区間を探します。
【図の所見】
約0.05〜0.1秒に、低いフォルマントをもつ有声の区間があり「お」に当たります。
約0.1〜0.17秒には弱く乱れた成分があり、/h/の気息に当たります。
約0.17〜0.38秒は有声音が途切れずに続き、フォルマントが動いて「あ・よ・う」へ移っていきます。
約0.4秒付近で、高い周波数まで広がる短い雑音のあとに有声音が始まり、/z/から「ざ・い」に続いています。
約0.6秒付近で弱い有声区間(/m/)をはさんで「ま」が続きます。
最後の約0.78〜0.95秒には、声帯振動の縞がなく3kHz以上に強い雑音だけがあり、母音が無声化した「す」に当たります。
「よう」の母音と/z/の雑音の間には、/g/の閉鎖と母音/o/に当たる区間がありません。
このため、早口で「ご」が省略されて「おはようざいます」と発話されていると読み取れます。
【選択肢別解説】
1:× 「は」は残っています。
約0.1秒付近に/h/の気息成分があり、続いて母音/a/の有声区間がみられます。
2:× 「う」は残っています。
「よ」からのばす長母音として、有声区間が連続しています。
3:○ 「ご」が省略されています。
/g/の閉鎖による無音区間や破裂がなく、「よう」の母音から直接/z/の雑音に移っています。
4:× 「い」は残っています。
「ざ」の後でフォルマントが「い」の配置へ移る区間がみられます。
5:× 「す」は残っています。
末尾の高い周波数の強い雑音が/s/で、母音/u/は無声化しています。
【ポイント】
共通語では、無声子音にはさまれた「い」「う」や文末の「す」の母音は無声化しやすくなります。
スペクトログラムでは、縦縞の有無で有声と無声を見分けることが基本です。
【用語】
広帯域サウンドスペクトログラム:音を時間・周波数・強さで示した図で、時間分解能が高く声帯振動の縞を見やすいものである。
モーラ:日本語で一定の長さをもつ音の単位で、拍とも呼ばれ、仮名1字がほぼ1つに対応する。
フォルマント:声道の共鳴によってスペクトルに現れる周波数の山で、母音の違いを決める。
有声音:声帯が振動して作られる音で、母音や有声子音がこれにあたる。